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伊藤華英「私は5年かかりました」
今こそ選手と社会人の両立を。
posted2020/04/16 11:40
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph by
AFLO
「東京オリンピックまで頑張る」
「自国開催だから、引退しようと思ってたけど続ける」
リオ2016大会が終わったあと、こんな話を沢山のアスリートから聞いた。
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すでに実績を残していても、賞賛を得ていても、自国開催というモチベーションの大きさは計り知れない。
競技特性にもよるが、25歳をすぎて来ると多くの競技で「ベテラン」と言われるようになる。以前私はエリートスイマーについてパスウェイ(どんな経歴を通って日本代表になったか)の調査をしたことがあり、競泳は特に幼少期から競技者として生活している時間が長い選手も多いので、そのくらいの年齢で十分ベテランと言えるだろう。
私自身が引退したのは27歳の時で、日本代表は12年目だった。
12年が長いのか短いのかは一概には言えないが、15歳から海外遠征が始まり、16歳では日本代表だった。普通ならば多くの物事に興味があり、エネルギーもあるこの時期に、その全てを競技に捧げた。そうでなければ「勝つ」ことはできない。10代半ばの時点で、多くの人が辿るものとは異なる時間感覚の中を過ごすようになるのだ。
人生の大舞台を20代で迎えて。
トップレベルに到達するアスリートの多くは10代後半で頭角を現し、競技が最優先のキャリアをつき進んでいく。
その中で自然と、「オリンピックは何歳の時にあるからまだ年齢的に間に合う」という風に戦略を立てるようになっていくのだ。
私が27歳で引退した時、27歳は既に大人、年長者として扱われた。1964年の東京オリンピックに出場した故・木原光知子さんは「当時は20歳でおばさん」だったと教えてくれた。
現在はアスリートの選手寿命も伸びて状況はずいぶん変わったが、それでも大舞台を何歳で迎えるかは、人生全体に大いに関係があると思う。