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復活誓うリリーバー、DeNA砂田毅樹。
テニスボールで思い出した感覚とは。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2020/04/12 09:00
自主トレで感覚を取り戻したという砂田。「今年はマウンドで堂々としていたい」と語る姿は、リーグ開幕後の活躍を予感させる。
昨季の不振を経て思い出したこと。
昨シーズン、砂田は不振に陥った。球威が上がらず、コントロールは乱れ、勝負にいけない。2017年シーズンからリリーフに専念し、この年は62試合、翌年は70試合登板とフル回転しチームを支えた。だが中継ぎ3年目の昨季はわずか16試合の登板で防御率5.11。前年まで見られたマウンド上で堂々と投げる姿は影をひそめてしまった。
懸念したのは前年までの登板過多である。昨年の春先、調子の上がらない砂田にそのことを尋ねた際「その影響はあると思います」と吐露している。
だが、それはちょっと違うのではないかと砂田は自分自身を振り返った。
「最初は疲労が出たのかなと思ったのですが、シーズン中や去年の終わりぐらいに思ったのは、結局トータルで考えて1年目と昨年の6年目、なにが違ったのかということです。身体が大きくなったり、筋量が増えたというのはありますが、柔軟性など体質的にほとんど変わっていない。シーズン中、球団が用意してくれたエクササイズの数値も落ちたわけではありませんでした」
またファームで慎重に調整をし、疲労を残すことなくプレーをした。だが、前年ほどのボールを投げることはできなかった。
「じゃあ、なにが変わったのかといえば、自分の考え方が変わったんじゃないかって」
持ち味である”器用さ”を使えていない。
砂田が昨年とは違う感覚を取り戻したのは沖縄で自主トレを行っていた1月30日だったという。キャンプに入る直前である。
「指掛かりがよくて、久しぶりに納得のいくボールを投げることができたんです。すごく調子がよくて、これだって思えました」
一体なにが起こったのだろうか。
「前日に他の競技を採り入れようとテニスをやったんですが、そのときテニスボールを投げたら2、3球立てつづけに床にワンバンさせてしまったんですよ。これはマズいなって……」
先ほどの謎かけのような言葉の真意がそこにはあった。
「つまり自分の持ち味である“器用さ”を使えてないと感じたんです。それに気づくことができ、強く意識するようにしたら、翌日に硬式でいいボールを投げることができたんですよ。ああ、この感じだって」