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2014年のドラ1・松本裕樹が変貌!
自己最速の152kmが証明したもの。 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2020/03/21 11:30

2014年のドラ1・松本裕樹が変貌!自己最速の152kmが証明したもの。<Number Web> photograph by Kyodo News

オープン戦で好調を維持し、先発ローテの「6枠目」を争っている松本裕樹。

転機になった、2019年1月。

 そんな松本が、なぜ冒頭のような快速球を取り戻せたのか。

 昨シーズンの松本は7試合1勝1敗、防御率4.01と相変わらず平凡な成績に終わっていたが、6月18日のヤクルト戦(神宮)で151キロを叩き出していた。昨シーズンから球速自体はかなり上がっていた。

「自分で強く意識をしたわけではなかったんですが、結果的に気づけば教わったような体の使い方をしているなと思いました」

 この年の1月、松本はチームの先輩の千賀滉大がプロ1年目オフから師事するアスリートコンサルタントの鴻江寿治氏が主宰する自主トレに参加した。

 鴻江氏が提唱する理論に沿って自身の『あし体』の特徴を生かしたフォームづくりにまい進した。『あし体』は左半身の方が右側に比べて強いとされる。だから右投手の場合は、軸足にためすぎない投げ方が推奨される。一般的な指導では聞き慣れない方法論だが、松本の心の中にはどこか響くものがあったのだろう。現在も左脚を上げた時の立ち姿は昨年の自主トレで習得した形に近いものがある。

 しかし、昨年8月19日の西武戦(京セラドーム)で先発登板した試合途中に腰を痛めてしまい緊急降板。不本意な形でシーズンの幕を閉じることになった。

故障を防ぐ、という新たなテーマ。

 いかに故障を防ぎ、1年間通して戦うか。

 松本は今季を迎えるオフ期間、また新たなことに挑戦をした。通常、プロ野球選手の自主トレは1月から本格スタートするが、12月のうちから約2カ月間のほとんどを広島で過ごした。今度は野球専門のトレーニングジム「Mac's Trainer Room」の門を叩いたのだ。

 同ジムを主宰する高島誠氏は野球パフォーマンスアップスペシャリストとして活動し、オリックスや米大リーグのナショナルズでトレーナーを務めた経歴をもつ。ラプソード(投球用3Dトラッキングシステム)やモータス(投手の肘に装着できるウェアラブルデバイス)など最新テクノロジーを駆使するほか、フランス海軍の軍事訓練を基礎として生まれたパルクールを練習の一環に採用している。

 パルクールとは走る、跳ぶ、登るなど俊敏な動きで心身を鍛え、人間の本能的な運動感覚を養ったり引き出したりするためのトレーニング。壁などの障害物を乗り越えたりもするが、野球の動きに生かすために直径約5センチのパイプ状になったバーの上で、バランスを保ちながら片足立ちや、スクワットに励んだりした。

【次ページ】 工藤監督も松本の現状に笑顔。

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