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大迫傑vs.設楽悠太、東京マラソン。
2時間4分台、日本記録更新で五輪へ?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/02/23 19:00
MGCのスタートラインに立つ大迫傑(右)と設楽悠太(中央)。多くの選手がピンク色のナイキの厚底シューズを着用していた。
MGCについては「悔いはない」。
MGCでは、スタート直後から飛び出した。日本記録を破るかというハイペースで飛ばし、15キロを通過したときには2位集団に2分13秒差と大きなリードを奪い、独走。
だが高温・高湿度のもとでのハイペースが祟り、30キロから失速して結果は2時間16分9秒の14位に終わった。
ただ、レースについては「悔いはない」という。今回も、4分台を意識して、思い切ったレースを見せると考えて不思議はない。
設楽、大迫以外にも有力な選手が。
大迫は、設楽とやや立場を異にする。
MGCでは終盤、優勝した中村匠吾、2位の服部勇馬に競り負ける形で3位の成績を残した。つまり、設定記録を破る選手がいない限り、大迫が代表になる。
選択肢としては、代表選考レースの行方を「待つ」こともあった。出場することで、代表になってもオリンピックまでの調整に影響を及ぼすから出ないほうがよいのでは、という意見もあった。
それでも出場を選んだ。自力で決めたいという思いがあっただろうし、設楽らの力を考えれば、突破者が出る可能性は十分ある。待った末に後悔したくはなかっただろう。
勝負は両者に限られているわけではない。
たとえば井上大仁がいる。
井上は2時間6分54秒の記録を持ち、暑い中で行なわれた2018年のアジア大会では金メダルを獲得。これらの実績から、MGCで優勝候補の1人と目されていた。だが、完走者の中では最下位の27位と思いがけない成績に終わった。
「なぜだか分かりません」
ショックの色は隠せなかったが、気持ちを取り戻し、残り1枠を目指してきた。