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馬場雄大の常識を覆すNBAへの挑戦。
「本気になってやれないことはない」 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byYukihito Taguchi

posted2020/02/18 11:30

馬場雄大の常識を覆すNBAへの挑戦。「本気になってやれないことはない」<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

馬場は下部リーグのGリーグ、テキサス・レジェンズからNBA入りを目指す。

「来い」ではなく「考えてくれ」。

 昔からそうだった。まわりに流されることはなく、言われるままの道を進むわけでもなく、自分で判断して進む道を決めてきた。

 進路について自分で悩んで考え、判断した最初の思い出は、高校進学のときだった。富山第一高校でコーチをしていた父から、「うちに来ないか」と声をかけられたのだ。当時の富山第一高校は全国レベルの選手を勧誘するような強豪校ではなかった。それでも、馬場が高校に入るタイミングで力を入れて勧誘し、伝統の一歩目を作りたいという話に惹かれた。子供の頃からバスケットボールのすべてを教えてもらっていた父から、さらにコーチとして教わりたいという気持ちもあった。

 このとき、父だからといって「来い」という強制的な話ではなく、「考えてくれ」と、最終判断を任されるような誘いだったと馬場は振り返る。そして、今になって振り返ると、そうやって昔から自主性に任せてくれたことで、判断力をつけさせてくれたのだと気づいたとも言う。

「小さいときから『自分で考えて行動しろ』って言われていたんですよね。『(親として)方向修正はするけれど、基本は自分で考えて、自分で思ったようにすればいい』と。自分で決めて、自分がいいと思ったら突き進む。でも、責任も全部自分だと言われて育ってきた。今、考えると、そこがけっこう根本としてあるかな」

1月末にはスターターに抜擢。

 馬場が所属するGリーグのテキサス・レジェンズのオーナーで、NBAダラス・マーベリックスのGMでもあるドニー・ネルソンは、馬場について「それなりのサイズがあり、複数のポジションができるところが気に入った。ドリブルもできるし、シュートもできる。プレーメイクもできる。そういった彼の能力にはとてもワクワクしている」と言い、開幕からここまで、環境もまわりの選手の運動能力も違うなかで、馬場が着実に成長を見せていると評価する。

 実際、開幕当初は出番が限られていた馬場だが、試合を追うごとに、ヘッドコーチの信頼を勝ち取り、開幕から約1カ月たった12月上旬には完全にローテーション入りし、年末頃から出場時間が増え、1月末にはスターターに抜擢されている。ヘッドコーチのジョージ・ガラノポウロスいわく、ディフェンスはGリーグのウィング選手の中でトップレベルにあり、努力と性格のよさから、シューティングなど、他の面でも結果を出し始めていると称賛する。実際、1月末からの3試合では、3Pシュート合計15本中12本を成功させてもいる。

【次ページ】 「根拠なき自信があるんですよね」

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