熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
本田圭佑「見たことがない光景」
ボタフォゴの熱烈歓迎、2つの理由。
posted2020/02/12 12:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Hiroaki Sawada
すさまじい、としか表現しようがない歓迎ぶりだった。
2月7日午後のリオデジャネイロ国際空港。国際線到着ロビーの壁には、サポーターグループが作った巨大な旗が吊るされている。
「ようこそ(日本語) HONDA」
ボタフォゴのユニフォームをまとった本田圭佑が絶叫している大きな写真が印刷され、その下に「若い怒り・ボタフォゴの愛のために」(日本語)という不思議なフレーズが(その後、「若い怒り」というのはこのサポーターグループの名前を直訳したのだと気付いた)。
集結した黒と白の軍団は、約3000人。本田を乗せたドバイ(UAE)からのエミレーツ機が到着する数時間前からロビーを完全に占拠し、「オレー、オレオレオラ、ホンダ、ホンダ」のコールを繰り返し、クラブソング、数々の応援歌、さらにはボタフォゴファンのミュージシャンが彼のために作詞・作曲したサンバなどを飛び跳ねながら歌い続ける。
一瞬たりとも止まらない。驚異的なエネルギー。これがブラジルのサポーターなのだ。
バスが10分以上動けなかった。
午後4時半、ベージュの上着の本田圭佑が到着ロビーに姿を現すと、耳をつんざくような大歓声。本田は大きな目を見開き、右手を上げてサポーターに応え、クラブの旗を胸の前にかざす。それから、到着ロビーのすぐ横に停車していたクラブ差し回しの大型バスに乗り込んだ。
ところが、ここにも大勢のサポーターが群れている。バスを何重にも取り囲んでおり、バスは全く動けない。リオ市内に向けて走り出したのは、10分以上もたってからだった。
このサポーターの歓迎ぶりについて、翌日、本田は「これまでの自分の人生で、一度も見たことがない光景。本当に驚いた」と語っている。