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過去の自分よりも良い演技ができる。
羽生結弦、プログラム変更への自信。 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byAsami Enomoto

posted2020/02/11 11:50

過去の自分よりも良い演技ができる。羽生結弦、プログラム変更への自信。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

四大陸選手権で優勝し、男子史上初の「スーパースラム」を達成した羽生結弦。左は2位のジェイソン・ブラウン(米国)、右は3位の鍵山優真。

古いプログラムに戻した羽生の自信。

 その意味では、『バラード第1番』と『SEIMEI』を再び競技の場に戻してきた羽生結弦は、逆に現在の自分の体力にも表現力にも自信があるのだろう、と筆者は思った。

「伝説として語り継がれるような記録を持ってしまっている子たち」と羽生自身が語ったように、何度も世界歴代最高スコアを更新し、何より66年ぶりに五輪男子シングル連覇を達成したプログラムである。

 世界中のスケートファンの記憶に刻まれ、現在ではPCで過去の映像も簡単に見ることができる。羽生自身、過去の自分よりも良い演技ができる確信がなければ、到底このプログラムに戻してはこなかったに違いない。

 実際、四大陸のSPでは完璧な演技を滑り切り、わずかではあるが平昌オリンピックの演技を上回るスコアを出した。

 フリーではジャンプミスも出たが、振付のこなれかた、体の使い方、細かいトランジションの入れ方など、以前に羽生が見せた『SEIMEI』より確実に進化している。

 クラシックバレエのように、人々の記憶に残る名作品を、より完成度を高くして何年も見せていくというのは1つの挑戦の在り方として十分に面白みがあると思う。

 ISUのジャッジたちも、同じプログラムでも着実に進化している羽生を評価したからこそ、高い演技構成点を与えたのに違いない。

 モントリオール世界選手権で、羽生結弦がこのプログラムで新たな伝説を作ってくれるのか、楽しみだ。

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