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全米を、世界を覆う分厚い悲しみ。
英雄コービーへの追悼は続く。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2020/01/29 12:00
世界中に衝撃が走ったスーパースターの突然の訃報。“ブラックマンバ”のプレーはこれからも語り継がれていくだろう。
ドリームチーム結成もあるだろう。
若くしてこの世を去った英雄に捧げるジェスチャーとして、26日に行われたNBAの全試合前に追悼セレモニーが行われた。
現役時代には背番号24と8を着用したコービーへのメッセージとして、多くのゲームで開始直後に両チームが意図的にボールを動かさず、“24秒バイオレーション”と“8秒バイオレーション”を犯すという前代未聞のシーンが展開された。ダラス・マーベリックスは背番号24を永久欠番とすると発表するなど、コービーの大きさを示すエピソードは枚挙にいとまがない。
NBAを挙げたトリビュートは今後もしばらく続くことだろう。2月中旬、シカゴで開催されるオールスターウィークエンドは大々的な追悼のステージになるはずだ。もしも6月のファイナルにレイカーズが進出し、一般的にコービーから“No.1プレイヤー”の座を受け継いだと見られているレブロン・ジェームズ、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)が激突するようなことがあれば、最終決戦も“コービーに捧ぐ戦い”となるのかもしれない。
また、国際試合では31戦全勝だったコービーの後輩たちが、東京五輪で“現代版のドリームチーム”といえるアメリカ代表結成に向けて動いたとしても驚くべきではあるまい。
人々の興味の移り変わりの速度が早まった現代。そんな時代背景ゆえ、スポーツ界でも全国区のスーパースターが生まれにくくなったと言われる。しかし、コービーの魅力は時代の潮流をも軽々と飛び越え、アメリカ中、いや、世界中に飛び火していった。そんな稀有なアスリートを襲った悲劇は、強烈な痛みを伴って人々に迫ってくる。
45歳にして飛行機事故で亡くなったボクシングの世界ヘビー級王者ロッキー・マルシアノ、38歳で同じく飛行機事故で死亡したMLBのロベルト・クレメンテらと同様、コービーは伝説になる。
アメリカのほぼすべてのスポーツファンは、巨星が堕ちた2020年1月26日、自分がどこで何をしていたかを生涯忘れることはないのだろう。