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全米を、世界を覆う分厚い悲しみ。
英雄コービーへの追悼は続く。
posted2020/01/29 12:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
“コービー・ブライアント逝去”という衝撃的なニュースは、晴れる見通しの立たない分厚い黒雲のように全米を包み込んでいる。
まだ41歳だったNBAの元スーパースターが、26日(日本時間27日)、ロサンゼルス近郊でのヘリコプター事故で急死。前触れもなく訪れた悪夢のようなアクシデントに、周囲が受けたショックは莫大だった。
当日の昼頃から徐々にニュースが報道されると、NBAは騒然とする。訃報を聴いたマイケル・ジョーダンをはじめ、レイカーズの先輩だったマジック・ジョンソン、カリーム・アブドル・ジャバー、元同僚でもあり宿命のライバルでもあったシャキール・オニールといった元スーパースターたちが次々と声明文、ツイートを発表した。
「コービーと娘ジアナの悲劇的なニュースにショックを受け、言葉にならない痛みを感じています。コービーを愛していました。私にとっては弟のような存在でした」
中でもコービーの憧れでもあったジョーダンのそんな心のこもった言葉に、衝撃の大きさを感じたファンは多かったことだろう。
アメリカ、世界がヒーローを失った。
“コービーロス”の余波はNBAの中だけに限った話ではない。サッカーのネイマール、ボクシングのマニー・パッキャオ、ゴルフのタイガー・ウッズといった各界のトップアスリートたち、さらにはバラク・オバマ、ドナルド・トランプといった歴代大統領までもがお悔やみの言葉を述べた。
何より、26日、レイカーズの本拠地ステイプルズ・センターで開催されたグラミー賞授賞式の壇上で、司会を務めた人気女性シンガー、アリシア・キーズが残したこんな言葉が、今回の事件がアメリカにもたらした影響の大きさを物語っているのではないか。
「今夜は最高の作品を残したアーティストを祝福する音楽の祭典です。ただ、率直に申し上げて、私たちはみんな抱えきれないほどの悲しみを感じています。本日、ロサンゼルス、アメリカ、世界がヒーローを失いました。私たちは今まさにコービー・ブライアントが築いた場所に胸が張り裂ける思いで立っているのです」