プロ野球亭日乗BACK NUMBER
バースにブーマー、タフィ・ローズ。
外国人も野球殿堂に入る投票方法を。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/01/17 19:00
2001年、近鉄対ヤクルトの日本シリーズ第2戦、8回裏に勝ち越し3ランを放ちスタンドを指さすローズ。史上最強クラスの助っ人だった。
“排除の論理”を振りかざす声も。
ただ、このバースさんもプレーヤー部門では殿堂入りを果たせず、エキスパート部門で候補入りしている今年も必要投票数の102票には13票足りない89票だった。
バースさんについては実働年数が6年しかないことを理由に“排除の論理”を振りかざす声も聞く。
ただ、それなら実働はほぼ8シーズンで脳腫瘍で亡くなった“炎のストッパー”津田恒実さんはどうなるのか。
津田さんは記録的にはバースさんほどの突出するものはない。ただ、あのストロングスタイルのピッチングでファンに残した鮮烈な記憶は殿堂入りに値するものだった。それが評価されて'12年には殿堂入りを果たしているのである。
レロン・リーやクロマティ、ブライアントも。
またブーマーさんは阪急、オリックス、ダイエーで10年間プレーして、'84年の三冠王をはじめ首位打者2回、打点王4回、最多安打4回とタイトルを獲得。4000打席以上の右打者では歴代1位、左も含めて同5位となる生涯打率3割1分7厘を残している。
それこそ実働年数も文句なし、残した数字も文句ない。それなのにプレーヤーズ部門では12年に資格を失い、その後はエキスパート部門で候補にも入っていないのが実情だ。
実はローズさんやこの2人だけではなく生涯打率歴代2位の3割2分を誇る元ロッテのレロン・リーさんや巨人史上最強助っ人と言われたウォーレン・クロマティさん、東京ドームの天井スピーカーに当てる認定本塁打1号など特大本塁打を連発した近鉄の怪人ラルフ・ブライアントさんなどなど、記録や記憶に残る外国人選手がほとんど誰も殿堂入りを果たしていない。
ローズさんは巨人時代にコーチとつかみ合いの喧嘩をするなど素行面で何度も問題を起こし、バースさんも長男の病気をめぐる退団の過程で阪神球団や取材陣とかなりの軋轢を生んだという背景はある。
ただ、法を犯したわけでもなく、それが殿堂入りできない大きな理由になるのか。それ以上に大きな実績と足跡を日本球界に残しているはずなのになぜ壁に阻まれているのか。
外国人であることが“排除”の理由になっているのではないか、という米メディアの指摘を否定はできないのである。