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元西武・長田も繰り返す「すごい」。
色あせない松坂大輔へのリスペクト。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2020/01/11 20:00
14年ぶりに古巣・西武に復帰した松坂大輔。会見では「リーグ3連覇、日本一のために少しでも力になりたい」と語った。
松坂が試合で見せる凄み。
では、そんな長田の受けた松坂の印象はどんなものだったのか。
「僕が入団したころは、とにかく大事な試合に絶対勝つ投手というイメージです。絶対に負けちゃいけない試合で、松坂は勝つ」
普段は「普通の20代前半の青年といった感じ」と長田は表現する。
「もう、本当に普通なんですよ。普通の、20代前半の男子という感じでした。普段はふざけたり、じゃれたりするんですけど、試合になったらガラッと変わる。当時、キャッチボールの相手をしていたんですけど、キャッチボールのときは『勝てるかな』って思うんですよ」
一緒にキャッチボールをしても、さほど、ほかの選手との違いは感じなかった。しかし、試合になると豹変した。
「マウンドからホームまで投げるボールは格段に違う。これは勝てないなって、単純に思いました」
「納得いくまでやってほしい」
高卒で西武に入団してから20年が過ぎ、松坂はさまざまな経験をした。メジャーに渡り輝かしい成績を残し、反対に、故障に苦しんだ年もあった。西武への復帰の記者会見では「ボールも遅くなったし、以前までなら絶対にやらなかった、“ボールを動かす”というピッチングを今はしている」と自身の変化を語った。長田が記憶し、衝撃を覚えた入団当時とは何もかもが違うのかもしれない。
むしろ同じ姿を求めるほうが間違っている。
「とにかく、松坂には納得いくまでやってほしいですね。結果が残せない時期もありましたけど、そういったすべてを克服して、活躍する姿を見たいです。年齢によってもちろんピッチングスタイルは変わる。だから今の年齢で、今まで培ってきたものをすべて出してのベストを見たい。『もう一回、今の松坂大輔のベストパフォーマンスの投球を見せてください』と言いたいですね」
アメリカに行く前に会ったのが最後だと語る長田。「会えるのが楽しみですね」と胸を高鳴らせている。
松坂のライオンズ復帰によって、それぞれの道を歩んでいる松坂世代の選手にも、さまざまな感情が生まれる。松坂大輔とは、それだけ影響力の大きい選手なのだと改めて思う。