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元西武・長田も繰り返す「すごい」。
色あせない松坂大輔へのリスペクト。
posted2020/01/11 20:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
「大学時代の同級生は転職したり、いろいろ悩んでいます。40歳手前ってそういう世代なんですよね。その中で松坂は、ひとつのことを貫いて、続けているんでね。同世代の希望だと思いますよ」
松坂大輔のライオンズ復帰が決まったあと、同じ松坂世代で、埼玉西武ライオンズでは4シーズン、ともにプレーをした長田秀一郎に話を聞く機会があった。長田は松坂と同じ神奈川県の強豪、鎌倉学園の出身。高校時代は横浜の松坂、鎌学の長田は神奈川の双璧で、何かと比較される対象だった。
「最初に話をしたのは高校生のとき。横浜スタジアムで県大会の開会式を待っているときに、話しかけられたんですよね。一緒に写真を撮った覚えがあります。あの写真、探せばどこからか出てくるかも、ハハ」
長田は高校卒業後、慶応大学に進み、2003年にドラフト自由獲得枠で西武に入団。松坂から4年遅れてプロ入りし、チームメートとなった。現在はライオンズアカデミーのコーチとして小・中学生に野球を教えている。
「対戦しなくてよかったです」
長田は振り返る。
「中学時代から松坂の名前は知っていました。僕は横浜市内に住んでいて、松坂は東京のチームでプレーしていましたけど、有名でしたし、当時、横浜高校って神奈川の強豪で憧れの的。だからそんな横浜高校に『誰が入るのかな』と注目して見ていましたね。だから『松坂は横浜か』って……。野球関係者の中では有名でしたが、でも松坂は入学当初はまだ頭角を現していなかった。2年生くらいまでは、“もし対戦したら勝てるだろうな”って思っていたんですけどね。そのあとは全く歯が立たなくなりました」
横浜高校は県内の高校とは一切、練習試合をしなかった。そして長田のいる鎌倉学園とは公式戦でも対戦するチャンスはなく、3年間が過ぎた。ただし、夏の大会や秋季大会などで両校の試合順が並び、スタンドから松坂のピッチングを見る機会は多かったと話す。
「対戦したかった? いや、たぶん勝てないから対戦しなくてよかったです、ハハハ。最後の夏は甲子園の80回記念大会で、神奈川からは2校が甲子園に出場できました。西と東にわかれていたので、もともと横浜と当たらないのはわかっていたけれど、確か横浜は準決勝ですら25-0とかで勝っていましたからね。県内でもずば抜けて強かった印象です」
甲子園での松坂のピッチングもテレビで見たそうで、「(延長17回まで続いた)PL学園戦は『えっ? まだ試合やっているんだ』って驚いたことを覚えていますね」と振り返る。