スポーツ百珍BACK NUMBER
モドリッチに神様は再び微笑むのか。
「世界No.1」であり続ける難しさ。
posted2019/12/19 20:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Getty Images
スポーツのビッグイベントがあると、その競技の枠を超えて注目を集める選手がいる。
自分の国を代表して戦うチームにがんばってほしい! という思いとともに、大会を見ていると「この選手、ホント凄いんだな」と畏敬するアスリートが出てくるものだ。
2019年で言えば、日本列島が興奮のるつぼと化したラグビーW杯、南アフリカのファフ・デクラークだろう。
いやらしいスペースにパントキックを蹴るクレバーさ、チャンスがあれば自らトライを奪いに行く積極性、そして自分よりひと回りも大きな男と取っ組み合いのケンカをするほどの闘争心……これがワールドクラスなのかと感嘆した。
2019年のデクラークのように、2018年に多くの人々が夢中になった司令塔――それはルカ・モドリッチだったはずだ。
W杯で走り続けたモドリッチ。
1年半前のサッカーのロシアW杯、開幕前にクロアチアの大躍進を予想する人はそこまで多くなかった。しかしその中心にいたモドリッチはメッシ擁するアルゼンチンを撃破するスーパーミドルを突き刺し、決勝トーナメントで延長戦が連続しても、毎試合のように走行距離10kmをオーバー。そんな中でも冷静にゲームメイクしたのは、並大抵の能力ではできない。
7試合で694分、約63kmを駆け抜けたモドリッチはテクニックとスタミナ、そして献身性と規律……今のサッカーに必要なものをすべて見せてくれた。だからこそサッカーファンの垣根を超えて愛されたし、W杯MVPとバロンドール獲得に繋がったのだろう。
「唯一無二のトロフィーであり、勝ち取れたのは名誉であり誇りであり心からの喜びだ。僕は今、キャリアの最も輝かしい瞬間を生きている」
Number973号に載っていた、バロンドール受賞後のモドリッチへのインタビューの一節だ。この言葉は、当時33歳ながら初受賞を果たせたことへの本心だろう。