欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
独メディア曰く「キングカマダ」。
鎌田大地が見せる数字以上の技量。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2019/12/17 15:00
ブンデスリーガでこそゴールをなかなか奪えないものの、ELでの活躍ぶりを見れば鎌田大地の成長ぶりはハッキリと分かる。
「カウンターする時の起点になる」
本人の、今季に懸ける思いも強かった。
8月に行なわれたEL予選3回戦のファドゥーツ戦では「個人的にはできると思っている。それを口だけじゃなくて、プレーで証明しなきゃいけない。今年はすごく大事な年になると思います」と固い決意を表明していた。
その言葉通り、今季のフランクフルトで重要な役割を担う選手となっている。
「今年は基本的に中継役というか、カウンターするときの起点になることがすごく多い。僕が動き回って、うまくチームのパイプ役というか、僕経由で簡単に前向いてウイングのコスティッチだったり、ダコスタだったりに渡してクロスとかそういうのが多い」
例えば味方選手がボールを奪取したタイミングで、すでにスペースに動き出してパスを引き出す。相手SBの裏スペースに流れ込んでロビングボールを呼び込む。相手が引いていったらスッと中盤に戻って組み立てに顔を出す。そうした状況に応じた“気の利いた”プレーが、チームのリズムを作り出していく。
受動的にプレーするのではなく、各選手の特徴を活かしたサポートをする判断も、評価されるべき点だろう。
左サイドのコスティッチは単独で持ち込めるし、ガツガツ行くことで持ち味が出る。だから、ある程度は放っておくし、シンプルに縦に速いパスを送る。逆に右サイドのダコスタはコンビネーションで裏スペースの攻略ができるから、サポートに入って、より近めの距離でパスコースを作っていく。
攻撃のリニューアルが必要な中で。
今季、フランクフルトは攻撃のリニューアルが再重要テーマのひとつだった。アレ(現ウェストハム)のような確実にボールを収められる選手も、レビッチ(現ACミラン)のようなスピード感のある選手も、ヨビッチ(現レアル・マドリー)のような得点力のある選手もいない。
昨シーズンのようにスピード感を前面に押し出したサッカーはできない。ただ、その分ゲームの組み立てをチームとして大事にしようとしている。
「チームとしてはそこが変わっているので、そうした選手がいなくなったぶん、ボールをうまく運ばないとダメ。そういう面で僕が入ったりして、そういうのを評価されていると思う。パイプ役というかそういうのが多いので、今年はプレーの幅がすごく広がってるなと思います」