欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
独メディア曰く「キングカマダ」。
鎌田大地が見せる数字以上の技量。
posted2019/12/17 15:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
長谷部誠と鎌田大地がプレーするフランクフルトのアドルフ・ヒュッター監督は、選手起用に頭を終始悩ませている。
ブンデスリーガ、DFB杯に加え、ELグループリーグ6試合を戦い、さらに本戦出場に向けて予選で3度ホーム&アウェーを戦った結果、ここまでの今季公式戦数は29試合になる(12月15日現在)。この数はブンデスリーガ最多。主力を定期的に休ませたいがチーム力を落とすわけにもいかない。
木曜にELを戦い、中2日ですぐにリーグ戦という日程が続く。練習で戦術を落とし込む時間もなく、コンディション調整ばかりに気を配らなくてはいけない。
そんなスケジュールのなか、鎌田はリーグ第15節終了時点で公式戦28試合に出場。20試合でスタメン起用され、フル出場も14試合ある。出場がなかったのは10月の代表戦直後のレバークーゼン戦だけである。
いまや主力のひとりと認められているが、シーズン前、ファンの鎌田への期待、ドイツメディアの鎌田への注目はそれほど大きくなかった。いや、そもそもチーム所属メンバーとして認識されていたかどうかも怪しい。フランクフルトでそれまで目立った活躍をしていなかったのだから、仕方がないかもしれない。
プレスに持ちこたえ、精力的に守備。
だが、レンタル先のシント・トロイデンでの経験は鎌田をひと回り以上成熟させていた。本人は「昨年も一昨年もそうですけど、感覚的には別にサッカーのプレー自体はそこまで通用してなかったとは思ってない。ボールを持ったところは今も昔もそんなに変わらないと僕は思っている」と口にするが、動きの質は違いとして見えている。
相手のプレスに潰されていた場面でも、しっかりと持ちこたえている。ひっかけていたパスもズバッと通す。足を止めず、精力的に守備をする。
プレシーズンでどんどん評価を高めた鎌田に対して、ヒュッターも「ダイチは今季素晴らしい成長を遂げるはずだ」と特大の期待を口にしていた。攻撃のバリエーションを豊富にするキーマンとしての資質を、鎌田に見出していたのだ。