才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
挫折の多かったサッカー人生から
戸田和幸が学んできたもの。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byYuki Suenaga
posted2019/12/11 11:30
信念とともに柔軟性を持ちたい。
36歳まで現役を続けたのは、怪我が多かったので、自分の中できちんとプレーをして終わりたいという思いがあったから。将来的に指導者への道を考えていましたし、できるだけピッチの中で拾えるものは拾ってからやめたいとも思っていました。
引退後、S級ライセンスも取りましたが、指導歴が短いので、今はもう少しトライ&エラーをしなきゃいけない時期だなと思っています。だから仕事の他に、教えを受けたい人のところへ足を運んで、学ぶ時間を作っているところです。幸い、仕事もそっくりそのまま学びになっているので、少しずつ思い描く方向に進んでいる手応えはありますが、それでもプロチームの指導者になるのは早いと思っています。ありがたいことに過去にはオファーもいただきましたけど、自分のプランとしてはまだ時期尚早だとお断りしました。
人に言われたことをただ仕事だからとやった結果、自分が進みたいイメージが損なわれるのは、嫌なんです。自分のブランディングも含めて、どこで仕事をするか、どんな仕事をするか、自分に何ができるかというのは大事だと思っています。サッカーに限らず、今自分がいるべき場所で、組織や人に対して貢献ができないのでは意味がないですから。
人に嫌がられることも色々言いましたけど、最終的には信念を持ちつつも、簡単にそれを捨てて、新しいものを作れるぐらいの柔軟性を持った男になりたいと思っているんです。自分が持っているものが違うと思ったらさっと捨てられるような、そんな人間になりたいですね。
戸田 和幸Kazuyuki Toda
1977年12月30日、神奈川県生まれ。桐蔭学園高を卒業後、'96年清水エスパルスに加入。各世代の日本代表を経験し、'01年FIFAコンフェデレーションズカップでA代表デビュー。'02年日韓W杯メンバーにも選出され全4試合フル出場。日本代表として国際Aマッチ20試合出場、1得点。イングランド、オランダでプレーした後、Jリーグのクラブを渡り歩き、'13年シーズン後に現役引退。現在は国内外のサッカーに精通した解説者として活躍中。
新しいナビゲーターに俳優の田辺誠一さんを迎え、番組デザインもリニューアル。アスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。
第85回:戸田和幸(サッカー)
12月13日(金) 22:00~22:24
元サッカー選手の戸田和幸さんは'02年日韓W杯で赤毛のMFとして、日本代表のベスト16進出に貢献。'13年に現役を引退し、現在は論理的な分析でサッカーの面白さを伝える解説者として活躍中。4年前にはS級ライセンスも取得し、新たな道を歩んでいます。今回は愛犬と散歩するオフにも密着し、戸田さんの素顔に迫ります。
第86回:小野真由美(ホッケー)
12月20日(金) 22:00~22:24
ホッケー女子日本代表の小野真由美選手は'08年北京、'16年リオと五輪2大会に出場した後、現役を引退し、オーストラリアへ留学。その後、現役に復帰し、34歳で再び日本代表に選出されました。10代、20代の時と今のチーム内での役割の違い、留学がもたらした気持ちの変化など、彼女の美学を10の質問で紐解きます。