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“目先”の世論に屈しないドイツ代表。
EUROの結果より大事な、足掛かり。
posted2019/11/27 19:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Uniphoto Press
11月19日、北アイルランドを6-1で下したドイツはオランダと同組の欧州選手権予選を首位で突破することができた。多くの関係者はホッとしたことだろう。
2018年のドイツ代表はロシアW杯でのグループリーグ敗退をネガティブなハイライトに、その後も結果的にも内容的にも苦しみ続けていた。それだけに2019年最後の代表戦を納得のいく形で終わることができた意味は、非常に大きい。
ヨアヒム・レーブ監督は「選手には賛辞を贈りたいと思っている。難しい年があり、そこからの変革を受け入れてやってきた。その後負傷者が続出し、さらにチームをいじる必要もあった。それでも若い彼らとともに予選を見事に突破することができた。チームは非常に強い意志を持ち、野心に溢れている。ポジティブなエネルギーがあると感じている。いい1年だったと満足している」と、将来に向けて着実なステップとなっただろう1年を総括していた。
レーブ監督の願い通りのプレー。
選手たちは「名声を取り戻す」という大義のためだけにプレーしているわけではない。
代表での出場機会を渇望していた若い選手たちにはプレーできる喜びと誇りが溢れており、自分たちが中心となって世界のトップレベルへ返り咲くというチャレンジが、多くの刺激となっている。
11月16日のベラルーシ戦に勝利した段階で、すでに欧州選手権の本戦出場資格は手に入れていたが、北アイルランド戦に消化試合の空気感はまったくなかった。「本気でこの試合を勝ちに行く姿を見たい」と選手を送り出したレーブ監督の願い通り、ドイツ代表の面々は意欲的なプレーを見せた。
先制ゴールを許したが、その後FWニャブリがハットトリックを決めるなどして快勝。レーブ監督は「2点差をつけた後でも流れを止めることなくプレーしきった点がよかった。(9月の)オランダ戦のように1点を先制しながらリズムを受け渡す試合があったからね。チームはやるべきことをしっかりとしてくれた」と、この日のパフォーマンスを満足気に振り返る。