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フェデラーが絡まない片手打ち決戦。
チチパス対ティームの新鮮な興奮。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2019/11/21 19:00

フェデラーが絡まない片手打ち決戦。チチパス対ティームの新鮮な興奮。<Number Web> photograph by Getty Images

ATPファイナルズを制したチチパス。片手打ちバックハンドのフォロースルーが非常に美しい。

2020年こそは世代交代、なのか?

 さてこうなると必ずテーマになるのが世代交代である。

 来年こそは新しい世代の年になると思うか? ラウンドロビンでティームに敗れ、準決勝でチチパスに敗れて大会を去ることになったフェデラーに、そんな質問が投げかけられた。

「確かに、僕もノバクもラファも過去数年に比べれば体の状態が良かったから、その中でツアーファイナルズに出場してきた彼ら若手たちは力を証明したといえるだろう。しかもこれだけの結果を残したんだ。新しいステップを踏んだことは間違いない。僕たちが衰えたのではなく、彼らが成長してつかんだ可能性だと思う」

 そう答えたが、チチパスとの準決勝で1ゲームに2度もスマッシュをミスしてブレークされたシーンを、集中力の衰えではないかと懸念する声もあった。本人も「過去に記憶がない。あったとしてもずっと昔」と振り返ったほどで、0-40のブレークチャンスを2度も握りながらどちらもものにできなかったことも、永遠のロジャー・ファンたちにはショッキングだった。

フェデラーは台頭を認めつつも。

 しかし、私たちはフェデラーに対してもナダルに対してもジョコビッチに対しても、<時代の終わり>を何度見誤ったことだろう。そのことを思い出させるように、フェデラーは新しい力の台頭を認めつつこうも指摘した。

「ナンバーワンでシーズンを終えたのは誰か、それまでナンバーワンだったのは誰か。信じられないことに、それはいまだに僕たちなんだ」

 今シーズンは昨年末に1位に返り咲いたジョコビッチがずっとその座を守り、最後にナダルが抜いて2年ぶりの年間王者に輝いた。38歳のフェデラーですら最後の1位からまだ1年半しか経っていない。

 このビッグ3によるグランドスラム・タイトルの独占は、もう3年間続いている。ランキング1位、グランドスラム・タイトルをビッグ3から奪うという本物の世代交代は訪れるのか。

【次ページ】 チチパスの恐れとティームの自信。

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