プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「動くボール」攻略は3人だけ……。
プレミア12米国戦敗北で見えたもの。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2019/11/13 12:00
8回、二塁打を放った鈴木は浅村の左前安打でホームに生還、1点差に迫ったが……。
7安打中、5本が鈴木と浅村のコンビ。
前日の豪州戦に続いてまたも追いかける展開となった日本代表だが、打線の低調は相変わらず。
4回には今大会、孤軍奮闘の鈴木の中越え三塁打から浅村栄斗内野手(楽天)の右前適時打で1点差とするが、5回には2番手の山岡泰輔投手(オリックス)が追加点を奪われる。
6回に再び敵失で出塁した鈴木を浅村の右中間二塁打で迎え入れて再び1点差に迫ったが、7回には4番手の大野雄大投手(中日)がプロスペクト5位のジョーダン・アデル外野手に逆方向への一発を浴びて2点差とされた。
8回にもまたまた鈴木の二塁打に浅村のタイムリーと2人の活躍で1点を挙げて迫る。なお1死一塁で、稲葉監督は浅村に代えて切り札の代走・周東佑京内野手を送る勝負に出た。
しかし、後続が断たれて重い1点差を埋められないままに黒星を喫してしまった。
この試合で放った侍ジャパンの安打は全部で7本。そのうち5本が鈴木と浅村のコンビで、シリーズを通して相手投手の動くボールを攻略できているのは4割以上の打率を残すこの2人に、3割台の菊池涼介内野手(広島)の3人くらい。あとの打者はかなり手こずっているのが現実なのである。
初見の投手に対応する方法。
「初見の投手を打ち崩すのはなかなか難しいものがあると思う」
稲葉監督がこう語るように、多少のデータはあるものの、球筋を全く見たことのない投手をいきなり打つのはかなり難しい作業だ。これまでの国際大会でもわかっていることだった。
ただ、その中でどう対応していくのか。方法はいくつかあるはずなのである。
「彼の逆方向へのヒットということで、こういうバッティングが今後のヒントになっていくのかとも思います」
1つはこの日の米国戦後に稲葉監督が指摘した浅村のバッティングだった。