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失格から一転、銅メダルを獲得した
競泳・大橋悠依のメンタリティ。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/11/13 11:00

失格から一転、銅メダルを獲得した競泳・大橋悠依のメンタリティ。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

世界水泳の失格直後、初心に戻って。

 先日の世界水泳では200m個人メドレーで失格になってしまい、400m個人メドレーまでの日々はずっと泣きたいような気持ちでした。だけど初心に戻って、自分は何を大事にして代表を目指してきたのかということを、もう1回考えたんです。代表のチームメイトやスタッフにもたくさん声をかけていただいたおかげもあって、最後は自分のために泳ごうということしか考えてなかった。周りがどうのこうのと言うのは考えずに、現状できることを100%出して、とにかく自分のレースをしようと思って、泳いだ結果、銅メダルを獲得することができました。

 あとは自分の気持ちを乗せるということはすごく大事かもしれません。試合の時もそうですけど、自分がどんな曲を聞けば気分が上がるのか、誰とどういう会話をすれば気持ちを高めてレースに向かえるのか。自分で自分のことを知っていると気持ちを切り替えやすいですね。

 競技人生のピークは人それぞれだと思いますが、寺川綾さんや星奈津美さんなどの先輩方が、オリンピックでメダルを取ったのって今の自分と同じか、少し上ぐらいなんですよね。だからこの年で東京オリンピックを迎えられるのはすごくラッキーだし、良いチャンスだと思っています。

大橋悠依

大橋 悠依Yui Ohashi

1995年10月18日、滋賀県生まれ。幼稚園時代に姉の影響で水泳を始める。小学校3年生の時に50m背泳ぎで初めてジュニア五輪に出場。'14年、東洋大学に入学。'17年には日本選手権の400m個人メドレーで日本新記録を樹立し、世界水泳200m個人メドレーで銀メダルを獲得。'19年世界水泳では、200m個人メドレーは泳法違反により失格となるも、400m個人メドレーで3位となり、2大会連続でメダルを獲得した。イトマン東進所属。

新しいナビゲーターに俳優の田辺誠一さんを迎え、番組デザインもリニューアル。アスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第81回:大橋悠依(水泳)

11月15日(金) 22:00~22:24

日本女子競泳界を牽引する大橋悠依選手は今年7月の世界水泳200m個人メドレーにおいてまさかの泳法違反で失格。失意のどん底から6日後、400m個人メドレーで銅メダルを獲得しました。トップアスリートならではの気持ちの立て直し方やON/OFFの切り替え方など、スペインでのオフショットも交え、10の質問で彼女の美学に迫ります。

第82回:廣田遥(トランポリン)

11月22日(金) 22:00~22:24

元トランポリン選手の廣田遥さんは全日本選手権10連覇、2度の五輪出場を果たし、8年前に現役を引退。現在は子ども達にトランポリンを教えつつ、夫の実家で若女将をする日々を過ごしています。現役時代に達成した10連覇の裏側、実感した勝ち続ける難しさ、現在の仕事に対しての思いなど、その美学を紐解きます。

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