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ここ最近、J1残留ラインが高すぎる。
プレミアやブンデスと比べても……。 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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posted2019/11/07 11:50

ここ最近、J1残留ラインが高すぎる。プレミアやブンデスと比べても……。<Number Web> photograph by Getty Images

イニエスタ、ポドルスキらが加入するも、昨季は残留争いに巻き込まれたヴィッセル神戸。第33節清水戦でなんとかJ1の座を死守した。

Jはプレミアよりもスリリング?

<プレミア>
※20クラブ、38試合、下位3クラブが自動降格
ブライトン36/カーディフ34/フルハム26/ハダーズフィールド16

<リーガ>
※20クラブ、38試合、下位3クラブが自動降格
セルタ41/ジローナ37/ウエスカ33/ラージョ・バジェカーノ32

<セリエA>
※20クラブ、38試合、下位3クラブが自動降格
ジェノア38/エンポリ38/フロジノーネ25/キエーボ17
(キエーボは不正会計で勝ち点-3の処分)

<ブンデス>
※18クラブ、34試合、16位が入れ替え戦で17、18位自動降格
アウクスブルク32/シュツットガルト28/ハノーファー21/ニュルンベルク19

 昨季はリーガも大混戦だったが、残留ラインは勝ち点30台がほとんどである。また4カ国とJ1の「残留に必要な1試合あたりの勝ち点」も気になる。下から4番目のクラブの「勝ち点÷試合数」を以下の通り、算出してみた。

プレミア/36÷38=0.94
リーガ/41÷38=1.07
セリエ/38÷38=1.00
ブンデス/32÷34=0.94
J1/41÷34=1.20

※J1は2018シーズン。小数点3位以下は切り捨て。

 Jと他の国では1試合あたりで「0.13~0.26」も違うし、これを単純に積み上げていけば34、38試合換算で「勝ち点4~8」くらい差が開く。つまり他のリーグより1、2勝多く必要だと見ていいだろう。

イニエスタもビジャもトーレスも。

 Jが世界に誇るビッグネームも、実力伯仲についての発信者となってくれている。

 誰あろう、アンドレス・イニエスタだ。

 スペイン紙『マルカ』のインタビューに応じたイニエスタは、記者に“日本は老人ホームではない”という主張をしてるよね、と問いかけられてこんな回答をしたのだという。

「その通りだよ。僕は選手たち、そして各クラブの競争レベルに驚かされているんだ。とてもダイナミックで、たとえ0-3となっても彼らは足を止めない。この競争力を僕は気に入っている」

 この言葉は本心だろう。何しろ昨シーズン、イニエスタやポドルスキ擁する神戸、そしてフェルナンド・トーレスがいた鳥栖が残留争いの真っ只中に放り込まれた。そして今季はジョーらがいる名古屋もギリギリの戦いを強いられている。もっと言えば過去にはフォルランがいたC大阪が降格の憂き目に遭っている。

 世界的な名手がいても簡単には残留争いを抜け出せない――そんなスリリングさがあるからこそ、Jリーグの終盤戦は恐ろしくも、シビれる戦いになるのだ。

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アンドレス・イニエスタ

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