大相撲PRESSBACK NUMBER
大関の「クンロク」は本当にダメか。
やけに巨大な責任を負う損な地位。
posted2019/11/04 11:50
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph by
Kyodo News
今、相撲界では大関を巡る動きが活発化してきている。
9月場所では関脇に地位を落としていた貴景勝が12勝3敗で大関復帰を果たし、栃ノ心は連続での負け越しで再度大関の地位を失った。そして御嶽海が優勝することで九州場所・初場所の成績次第では大関昇進の目が出てきている。
近い将来に覇権を握るような突き抜けた期待感を抱かせる力士は見当たらないが、大関昇進の可能性がある力士が徐々に出てきているのだ。
高安だって前頭の地位に甘んじていた時期が長く、栃ノ心もかつては上位総当りの地位では大きく負け越すタイプの力士だった。弛まぬ努力と1つのきっかけで大関が掴めるかもしれない時代なのだ。
玉鷲だって先日引退した嘉風だって、30代ながら本気で大関を目指し、この高い壁に挑んだ。
だが一方で大型化や突き押し相撲の流行の影響もあってか大きな怪我をする力士が後を絶たず、期待された力士が浮かんでは消えを繰り返しており、まさに「一寸先は闇」という状況と言える。
大関は10勝してほしい、という世論。
いま改めて考えてほしいのが、大関という地位についてである。
先日「大関に求める成績」ということでアンケートを実施したところ、その大多数が一場所10勝以上という水準だった。
「責任ある地位だから優勝争いに絡んでほしい」、「優勝は出来なくても他の力士との格の違いを見せてほしい」という回答も少なからずあり、多くの方が大関という地位に対して求めているものが高いということが判明する結果となった。
そして多くの方が出したワードが「クンロク」だった。相撲ファンの間では有名な表現だが、「クンロク大関」とは9勝6敗の大関のことを揶揄する言葉である。二桁勝てない大関はだらしない、弱いという評価を受けているのだ。
なお8勝7敗についても「ハチナナ」という言葉が存在しており、より厳しい批判に晒されることになる。