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スコットランド戦の「ありがとう」は
街を、命を守ったスタジアムにも。 

text by

金子達仁

金子達仁Tatsuhito Kaneko

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/10/15 20:30

スコットランド戦の「ありがとう」は街を、命を守ったスタジアムにも。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

スコットランド戦のキックオフ前、台風による犠牲者へ黙祷が捧げられた。

「勇気をもらった」者たちの躍動。

 堀江からムーア。ムーアからトゥポウ。そして、トゥポウから稲垣。

 日本が日本でなくなったような、あの夢のようなオフロードパス3連発は、「勇気を与えよう」とした者たちによるものというよりは、むしろ「勇気をもらった」者たちが特別な精神領域に足を踏み入れたがゆえに起きた、とわたしには見えた。

 あんな日本、見たことも聞いたこともなかった。

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 '19年10月13日、日本のラグビーは自分たちの歴史を作っただけでなく、世界の秩序をも揺るがした。近現代の歴史上初めて有色人種が白人国家を打ち破った日露戦争や、ウィンストン・チャーチルをして「第二次世界大戦でもっとも衝撃を受けた出来事だった」といわしめた日本海軍航空隊によるマレー沖海戦の勝利に匹敵するのでは、とわたしは思うが、この際、それはどうでもいい。

 大切なのは、日本の選手たちが秩序を揺るがすことができたのは、途方もないほどの時間と、金と、人が、決戦の舞台を守るために動いてきたから、ということである。

 関わってくださったすべての方に。

 ありったけの情熱を込めて──。

 ありがとう。

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