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世界最高峰の妙技が千葉で堪能できる!
「W杯リード印西大会」の見どころ。 

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津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

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photograph byIchiro Tsugane

posted2019/10/23 11:00

世界最高峰の妙技が千葉で堪能できる!「W杯リード印西大会」の見どころ。<Number Web> photograph by Ichiro Tsugane

“日本のエース”是永敬一郎の復活なるか。

 男子では自国開催の世界選手権での優勝を逃したリードのスペシャリストたちの反骨心を楽しみにしている。国内のスポーツクライミングシーンは楢崎智亜を筆頭に、原田海、藤井快など、ボルダリングを得意にする五輪強化選手たちに注目が集まっているが、リードに軸足を置く選手たちは、自分たちの土俵でその存在を知らしめるチャンスを虎視眈々と狙っている。

 今季のW杯リード第3戦フランス・ブリアンソン大会で優勝した西田秀聖、2位となった清水裕登をはじめ、昨季のW杯リードランク7位の本間大晴、同9位の波田悠貴、昨年のユース・オリンピックはリードの好成績によって銀メダルを引き寄せた田中修太と、ポテンシャルの高いタレントは揃っている。

 そのなかでも今季復活を遂げた是永敬一郎に注目している。昨年5月のW杯ボルダリングで負ったヒザの大怪我から、今年3月に復活して代表権を獲得。今夏に完全復活へ向けた再手術を受けたばかりで、まだ本調子にはない。ただ、それでも2017年シーズンにW杯リードランクを3位で終えた“日本のエース”には、期待せずにいられない何かがある。

 リード種目は選手たちの一挙手一投足を細かく観察するほど、その奥深い面白さに出会える。ルートのなかで手や足を動かす順番、クリップするためにロープを引き寄せるときの手や指の使い方、レスト時の腕の振り方、チョークアップのタイミングなど、数え上げればキリはない。選手ごとの違いは多く、それが最終的な高度をわけるものにもなっている。双眼鏡で目を凝らし、世界最高峰の選手たちの妙技を堪能してほしい。

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