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2020東京五輪は誰を見る?
さくらのヒロインを探せ!
posted2019/11/01 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto / Hideki Sugiyama
大舞台でのヒロインの座を狙う彼女たちが
その胸の中に秘めた、強い思いの在り方とは――。
それぞれの思いを込めて、東京五輪へと向かおうとする選手たちがいる。
永井友理と葉月の姉妹は、日本ホッケー界で名の知られた存在だった。父と母が、元日本代表選手であったからだ。
いわゆる「ホッケー一家」として、注目される機会も少なくなかったし、リオデジャネイロ五輪では父が日本代表監督を務めていたからなおさらだった。特に友理は長女である分、早くから脚光を浴びた。
「若い頃はいやでしようがなかったです。まわりに認められないといけないという気持ちが強すぎて」
それでも、そんな重圧と戦いながら、フォワードとして10年にわたり、日本代表で活躍してきた。
「ようやく今はポジティブにホッケーを楽しめています」
そんな友理が「性格は真逆です。私と違って外向的」と評するのが妹の葉月だ。ミッドフィルダーを務める葉月は言う。
「とにかく私は負けず嫌いなんです」
どこにも負けたくない、イコール、世界一になりたい。
そこには彼女ならではの決意もある。
「リオで負けたからこそ、金メダルで見返したいという気持ちが強いですね。リオの監督は父でしたし、もちろん負けたのは自分たちだけのせいじゃないけど、姉もいろいろ責任を感じていると思います」
お互いにホッケーの話はあまりしないという。それでも2人はこう語る。
「妹からパスをもらって決めるのを1つの目標にしています」(友理)
「自分がミッドフィルダー、姉がフォワードなので、パスがつながったときに『姉妹だな』と思うことはあります」(葉月)
言葉を交わさなくても通じる思いがある。