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北口榛花がドーハ世陸で見せた涙。
チェコ修行と、届かなかった6cm。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2019/10/04 07:30
北口榛花は感情を隠さない。泣いて、強くなるのが彼女の進み方なのだ。
コーチから学び、トップ選手に教わり。
「7月にチェコに来てから、10日間連続で練習の時もあって、さすがに8日目に『ムリ、休みたい』って言って休ませてもらいました」。
練習がきつかったり、思うような投げができない時もある。でも頑張れるのは、チームメイトとコーチがいるおかげだ。
「コーチがいる安心感が大きい。支えになっています」
また滞在中はチェコ選手権に出場したり、五輪、世界陸上の金メダリストのバルボラ・シュポタコバと練習する機会があった。日本から来た若いスローワーに女王は気さくに接してくれ、技術的なアドバイスもくれた。
「コーチから教わることももちろん大事ですが、トップの現役選手だから教えてもらえることもあって、そういうことも大事なんだなと実感しました」。
「悔しかったらすごく泣く」
今季5月には自己ベストを3m近く更新する64m36の日本記録を出した。ドーハでは決勝は逃したものの、「3本の投てきで60m超えを2本投げられたのは初めて」と収穫もあった。チェコでの練習は少しずつ実を結び始めている。
2015年世界ユースで優勝。しかしその後、記録は伸び悩んだ。思うような結果が出せず、悔し泣きをする日も多かった。
「悔しかったらすごく泣く。それに対して経験が少ないという人もいた。やり投げの経験は少ないけれど、スポーツの経験はある。頑張っていても記録がずっと伸びるわけじゃないことはわかっているし、逆に練習をずっと続けていれば、記録が更新できるという自信はありました」
これまで流した涙の分だけ強くなってきた。ドーハでの涙はきっと次の大きな成長につながるだろう。