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女子レスリングは弱くなったのか?
世界選手権で金メダル「1」の意味。 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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posted2019/09/26 07:00

女子レスリングは弱くなったのか?世界選手権で金メダル「1」の意味。<Number Web> photograph by AFLO

敗戦のショックにも銅メダルを獲得した川井友香子。世界との立ち位置が見えた今大会となった。

川井梨紗子、33歳皆川の成長ぶり。

 その一方で収穫もあった。

 笹山強化委員長は今大会から正式に日本チームのキャプテンに就任した川井梨紗子の成長に目を細めた。

「やはり伊調馨選手とああいう試合をして、精神的にすごく強くなったと思います。練習の対応を見ていても、今までとは全然違う。伊調選手との試合を通して自信をつけたんじゃないですかね。これからはムードメーカーとして全体を引っ張る存在になってほしい」

 昨年、一昨年と世界選手権では2回連続銅メダルを獲得した76kg級の皆川博恵(クリナップ)は準決勝で過去鬼門といわれたエストニアの選手を破って決勝に進出。昨年の世界王者アデライン・グレイ(アメリカ)と接戦を演じたうえで銀メダルを獲得したことも朗報だった。

 西口強化本部長は「これまでの皆川は3番がいっぱいいっぱいだったけど、東京では世界チャンピオンも見えてきた」と期待を寄せる。

「人間、ある程度の年齢(※皆川は日本代表の中で最年長の32歳)になっても、皆川のように努力したらここまで伸びるということを証明したと思います」

 飛躍のきっかけは専門コーチに師事しての徹底したフィジカル強化。さらに今年5月には世界の重量級の選手が集まった国際合宿に参加するなど努力の積み重ねがあったことに尽きる。「強豪メンバーの中を勝ち抜いたことは大きい。皆川の成長ぶりにはビックリしました」(西口強化本部長)

川井妹は敗者復活を勝ち抜いた。

 敗者復活戦を勝ち抜き、銅メダルを獲得した川井友香子の気持ちの切り換えも見逃せない。

 今年のアジア選手権で辛酸を舐めさせられたアイスルー・チニベコワ(キルギス)に敗れ、ミックスゾーンに現れた時にはテレビの手短なインタビューをした時点で泣き崩れ、話をするどころではなかった。

【次ページ】 「お母さんとお姉ちゃんが泣きながら」

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