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600試合登板、楽天・青山を救った
星野仙一の「稼ぎたくないんかい!」。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKyodo News

posted2019/09/26 08:00

600試合登板、楽天・青山を救った星野仙一の「稼ぎたくないんかい!」。<Number Web> photograph by Kyodo News

8月14日のソフトバンク戦で1回を無失点に抑え、通算600試合登板に華を添えた楽天・青山

「コーチに気を遣われる選手になってはダメ」

 それにしても、「どこでも投げますって言ってこい」は、額面だけで受け取ればシンプルすぎる。だが、それを平石がストレートに言い放ってくれたからこそ、青山には響いた。

 平石が深謀をこのように説く。

「一番は、コーチ陣に気を遣われるような選手になっては絶対にダメだということですね。僕個人の気持ちとしては、浩二とは現役時代も一緒にやっていましたし、彼の性格もわかっているつもりなんで。

 勝ちゲームで投げていた自分が投げられていないもどかしさ、年齢とかいろんな葛藤があったと思うんですよ。でもね、浩二のような実績と経験のあるピッチャーが『僕はどんな展開でも投げます』と言ってくれるほど、現場としてありがたいものはないんです。だから、そういう気構えでいてほしいっていうのと、一軍に上がる以上は中途半端な気持ちでいてもらいたくなかったんで、そう言ったんですけどね」

 青山は8月25日に3度目の一軍昇格を果たしてから10試合に投げ、1点も奪われなかった。そして、シーズン最後の登板で、通算500試合出場を達成した。

導いてくれた先人に感謝、感謝。

 この時34歳。一時は戦力外になるのではと危機感を抱いていた青山は、再びチャンスを与えられた。背水の中堅右腕にリベンジのチャンスを与えてくれたのが、監督時代にプロとしての自覚を植え付けてくれた、球団副会長の星野だった。

 星野、斎藤、平石。プロ野球人生の十字路では、いつも先人たちが光を灯し、導いてくれた。感謝、感謝。青山はそう繰り返す。

「星野さんはもちろんですけど、本当にいろんな人たちにいいタイミングで支えていただきましたね。500試合あたりから『成長できているな』って実感できてますもん。

 いかに後悔なくできるか? って考えながら、試合になればただがむしゃらに投げて……その積み重ねで今まで来ているのかなって」

【次ページ】 36歳で、60試合登板を再び達成。

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