酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
菊池涼介と山田哲人の守備数値比較。
2019年、鉄壁の二塁手はどっちだ。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2019/09/23 09:00
現在のプロ野球で名セカンドといえば、菊池涼介と山田哲人。2人の数字を比較してみると興味深い事実が浮かび上がる。
「気がつけばそこにいる」山田。
私はこの春の東京ドームでのMLB開幕戦、イチローの引退シリーズの前のエキシビションゲームで、アスレチックスの遊撃手、マーカス・セミエンの華麗なグラブさばきに見とれた。
ひょいとモノでも捨てるようにボールをつまんで軽く一塁送球するのを「なんて格好いいんだ」とみていたが、試合が始まったらぽろぽろやってがっかりした。
グラブさばきが派手で洗練されていたり、動きが大きかったりすると記者の印象は良くなる。菊池は無理目の球を追いかけて、ぎりぎりで追いついて捕球するという「見せ場」をよく作る。山田哲人は「気がつけばそこにいる」という印象で、派手さは菊池に比べればない。
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しかも山田は「打」では文句なしの「二塁手のベストナイン」だ。「打は山田なんだから、守備の方は菊池でいいんじゃないか」みたいな空気があるのかもしれない。
出場試合数で菊池、山田の争い。
ちなみに今季、規定試合数以上出ている二塁手はもう2人いる。9月18日時点での数字で4人を比較すると以下の通りだ。
菊池涼介(広)
134試合 RF4.70 守備率.984
山田哲人(ヤ)
136試合 RF5.04 守備率.988
糸原健斗(神)
117試合 RF4.76 守備率.995
阿部寿樹(中)
109試合 RF4.63 守備率.994
守備率だけなら糸原や阿部の方が上だ。しかしこの2人は二塁での出場試合数で菊池、山田に大きく見劣りする。やはり守備のアワードはフル出場近く守った選手に与えるのが本筋だ。今季も山田と菊池の争いだろう。
広島4連覇の目はなくなった。昨年までの売り物だった「タナキクマル」も、マルが巨人に行って、タナは棚落ちして二軍へ。キクも少し元気がない。
例えば、今年はゴールデングラブを山田哲人に譲って、それを発奮材料に来年、またすごい守備を見せる、という筋書きもなくはないだろう。