濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
名レフェリーが同期と試合を。
梅木よしのり、25年目の“デビュー戦”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byPANCRASE
posted2019/09/19 18:00
5月には同期・近藤有己の試合を裁いた梅木。今度は選手として伊藤崇文と対戦する。
「25年ずっと頑張り続けて、結果、今こうなってます」
リングに上がってどんな気持ちになるのか「今はまるで想像できないです」と梅木。
「本当に不思議な感じなんですよ。今の自分はあくまでレフェリー。練習生だったことは“思い出”なので。ただ当時は、渋谷や伊藤が先にデビューする中で“自分もその輪にいずれ入るんだろう”と思って練習してたんです。それが25年後になってやってきた感じがしますね。これがデビュー戦なんですかね、僕の(笑)」
ここ数年の伊藤はパンクラスの第一線から離れ、ZERO1など様々なプロレス団体で試合をしている。現状、2人とも“純粋な格闘家”ではないわけだ。ただ梅木にしても伊藤にしても、業界に携わり続けたから今こうして試合が組まれた。それは間違いない。
「運動をする人間としてのピークは、お互い過ぎてるんですけど。でも“オッサンなのに頑張ってますよ”ではない何か、この試合が組まれた意味みたいなものを感じてもらえたらいいですね。“25年ずっと頑張り続けて、結果、今こうなってます”と。翌日はまたレフェリーの仕事がありますし」
9.21ハードヒットではマモル、和田拓也、ロッキー川村といった元パンクラス王者に加え全日本プロレスの諏訪魔、デスマッチファイターとして抜群の人気を誇る木高イサミが出場する「エキシビション・タッグ・ランブル」も組まれている。柔術王者・関根シュレック秀樹の試合もある。その中で44歳の梅木と47歳の伊藤は、彼らにしかできない試合を見せてくれるはずだ。