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バレー女子のセッター争いに進展?
W杯に選ばれた宮下遥、佐藤美弥。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/09/14 11:30
リオ五輪の経験を買われ、ワールドカップメンバーに選ばれた宮下遥。涙で終わったリオの雪辱は果たせるか。
宮下も佐藤も、苦難の道程だった。
ただ、そこからの歩みも順風満帆ではなかった。なかなか主力に定着できず、昨年の世界選手権では代表に選ばれないなど、一歩後退した感もあった。
セッターとしては長身ゆえのブロック、ディグ、そしてサーブも秀でている。それらの点では他のセッターを上回る一方で、セットアップが課題とされてきた。つまり、セッターとして最も重要な能力を問われてきたのである。
それでも宮下は、所属の岡山シーガルズでこつこつと努力を重ねてきた。リーグ戦を経て「成長した」という声も多い。
佐藤もまた、リオには悔しい思い出がある。リオ五輪出場をかけた世界最終予選エントリーメンバー20名に名を連ね、代表をうかがう位置にいたが最終的には出場がかなわず、オリンピックの舞台に立てなかったことだ。
しかし中田体制となってからは代表メンバーに安定的に選出され、昨夏のアジア大会では正セッターとして起用された。しかしその後の世界選手権では故障の影響から代表落ちの憂き目にもあっている。
その世界選手権で主力セッターを務めたのは、宮下とともにリオに出場した田代佳奈美。つまりは、リオの代表争いで敗れた相手だった。
今回の選出が五輪を保証するわけではないが。
それでも歩みにぶれはなかった。
もともと佐藤は、決して「バレーエリート」というわけではない。大学卒業後は、日立リヴァーレに入団した。当時は技術の高いセッターとは言えなかったが、時間をかけて成長し、コンビネーションをいかす組み立てに磨きをかけてきた。
その努力が実り、リオ五輪はのがしたものの、日本代表の一端を担うまでになったのだ。
とはいえ、今回の選出が東京五輪代表に直結するわけではない。
「メンバーを固めていく時期」と中田監督が言う中での選出は、アドバンテージではあっても保証ではない。今大会でのパフォーマンスも、当然五輪メンバー争いに影響するだろう。