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球団史上最速タイの158キロを記録。
西武・平良海馬はマウンド度胸満点。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/09/05 11:30
8月30日のソフトバンク戦で初勝利を挙げた西武・平良(右)は、日に日に存在感を増している。
平良が見せる繊細さと力強さ。
試合数を重ねるごとに、徐々にゲームの明暗を分ける場面での登板が増えた。
「今はとにかく僅差の場面で投げることが多いので、点を取られてはいけないと思って、打者の反応を見て間を長く取ったり、またクイック気味にしたりしています。ポンポンと行かずに、一球一球大事に……」
打者の反応を観察して、タイミングを計るなど、繊細な一面も持ち合わせている。
一軍に上がったばかりのころは捕手のサインに首を振るシーンも目立った。
「自分には自分の考えがあって、合わないときはしっかり首を振ることも大事だと思っています」とキッパリ。打者を打ち取るためには、たとえ先輩に対しても遠慮はない。意思の疎通を図り、信頼関係を深める大切さも感じている。
同じ寮生で平良の素顔をよく知る今井達也は、彼についてこう語った。
「石垣島出身で、普段はのんびりしているんですけど、マウンドでは堂々としていて、緊張はしていないみたいですね。そこが平良のいいところだと思います。年は僕よりひとつ下ですけど、パワーピッチャーだし、試合の大事なところを任されている。頼もしいです」
速さよりも「強いボールを」
また1人、ライオンズにとっては楽しみな若い投手が台頭してきた。
平良は言う。
「マウンドで緊張はしないですね。マウンドに上がったらやることはわかっているので。球速はあまり意識していません。160キロを投げたいというよりは、『球速が上がれば打者も打ちにくいだろうな』と思うくらいで。強いボールを投げたいという理想は常にあります」
ライオンズは平良の活躍もあり、首位の福岡ソフトバンクをわずかなゲーム差で追っている。この先、負けられない試合が続くが、おそらく、これまでの野球人生では経験したことがないであろうプレッシャーの中で、平良はどんな投球を見せてくれるだろうか。