フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
選手「再生」の名コーチが語る、
本田真凜と羽生結弦の未来。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2019/09/08 20:00
世界選手権2連覇中のネイサン・チェンなど、数々の名選手を指導してきたアルトゥニアンコーチ。
言葉でのコミュニケーションの限界。
──彼の指導した第一印象は?
「ロシア語でトレーニングできる(ゴゴレフはカナダ人だが両親はロシア出身)ので、私にとって楽です。細かいニュアンスまで説明できてより説得力があると思う。真央のときもそうでしたが、真凜も、言葉でのコミュニケーションに限界があるので、その意味では苦労することもあります」
本田真凜の今季はどうなる?
──本田真凜の調子はどうですか?
「とても良いですよ。彼女が日本に一時帰国したときは、少し心配したんです。彼女は日本が大好きだから。カリフォルニアの生活だって悪くないと思うけど、でも彼女にとって日本が特別だということは良く判る。でも今回真凜が戻ってきたとき、体型も保っていたしジャンプもとても良い状態になっていました」
──今シーズンの展望はいかがでしょう。
「彼女はジュニアのときに世界チャンピオンになった。そしてシニアに上がって行き詰って私のところに来ました。基礎技術はもともと良いものを持っています。ただ試合で結果を出すということについては、今季は特に予測が難しいです。ジュニアから4回転を跳ぶ子たちが上がってきますから」
女子と男子の4回転の違い。
──男子はある程度体力がついてから4回転を跳ぶのに、女子はシニアになると4回転を跳べなくなるのはなぜですか。
「女の子は全てにおいて発達が早い。赤ん坊でもおしゃべりをはじめるのは女の子のほうが早いでしょう。スケートに対する姿勢も、子供のうちは女の子のほうが早くから自覚を持ってトレーニングをして、どんどん上達します。でもある年齢から女の子は体型が変わり、その体の変化を補うだけの筋力が追い付かなくなる。そこから男子との差がついてくるんです」