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競歩・鈴木雄介「コースの再考を」。
来夏のマラソン、競歩はどうなる?
posted2019/08/18 11:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
今年の東京の夏は、梅雨明けが遅かったものの、その後は猛暑にさらされている。日々、この天候のもとにいると、来年の東京五輪に改めて不安が浮かんでくる。
折しも、8月上旬に公開された合宿において、世界選手権競歩代表の鈴木雄介はこう語っていた。
「できるなら、コースの再考を」
鈴木は早朝の時間帯に、オリンピックのコースを試走したという。その経験を踏まえ、「脱水になっておかしくないし、選手、観客にも酷」だと感じたことから発した言葉だった。
猛暑の中の大会ということで、どうしてもマラソンの方がクローズアップされがちだったが、競歩にとってもまた、大変な条件であることを裏付ける言葉だ。
「勝負に大きく影響すると思います」
開始時刻を当初の予定から繰り上げるなどしたが、早い時間帯から高い気温と湿度になることを考えれば、厳しい状況でのレースになるのは想像に難くない。コースをひととおり下見した元選手もまた、そう実感したという。
特に過酷な環境となりそうなのが、鈴木も厳しいと感じさせられた、陽射しをさえぎるもののない皇居付近だ。鈴木は言う。
「勝負に大きく影響すると思います」
同時に、コンディションにも響くと予想する。
「身体にかなり厳しいですよね。そのあと、上り坂になっていきますから」
さまざまな暑さ対策はとられようとしている。先に記したスタート時刻の変更もそうだし、「遮熱性舗装」という路面に赤外線を反射する遮熱性樹脂などを塗ることで道路の温度上昇を防ぐ措置も進められている。