猛牛のささやきBACK NUMBER
「右打席と左打席で人格を変える」
俊足・佐野皓大は打撃でも魅せる。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/08/11 11:30
投手から野手に転向し、昨季、右打ちからスイッチヒッターに。
7月に一度登録抹消に。
一方で、課題は左打席。まだ始めて1年なのだから、当然といえば当然なのだが、右打席での打率が.275なのに対し、左打席は.189(8月8日時点)。
首脳陣から、「左打席でも結果を残せるように」という課題を与えられ、7月に一度登録抹消となった。
「左では、いろいろと考えすぎて、力が入りすぎていました。打席の中で、三振をしちゃいけないとか、どこに打とうとか、そういうことを考えずに、打てると思った球を打つ、ということを心がけるようにしました。ファームのスタッフの人たちの話も聞きながら取り組んで、いい結果が出るようになりました」
ウエスタン・リーグの試合で、左打席で初の本塁打も飛び出し、佐野は8月、再び一軍に昇格した。
「もっと左がよくなれば、レギュラーも見えてくる」と定位置獲りを視野に入れる。
やはり、足では誰にも負けたくない。
7月には、怪我で離脱した頓宮裕真に代わってフレッシュオールスターに出場し、2安打や盗塁で存在感を発揮した。
しかし、そこでの収穫や刺激は? と聞くと、「あんまりないです。楽しかったですけど」。すでに一軍で手応えを感じ始めている5年目の自負がちらっとのぞいた。
それでいて、二盗、三盗を決めた千葉ロッテのルーキー、藤原恭大の話題になると、「三盗はせこい!」と負けず嫌いが顔を出した。
やはり、足では誰にも負けたくない。
今は、「西川遥輝さん(日本ハム)や金子侑司さん、源田壮亮さん(埼玉西武)といった選手がランナーで出ていて、自分がベンチにいる時は、ずっと見ています」と、経験と技術に勝る名人たちから吸収しようと懸命だ。
いずれは、球界を代表するスピードスターに。急ピッチで階段を上り続ける22歳には、可能性があふれている。