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西武・十亀剣プロ8年目で50勝到達。
“力まない投法”で生まれた安定感。

posted2019/07/25 07:00

 
西武・十亀剣プロ8年目で50勝到達。“力まない投法”で生まれた安定感。<Number Web> photograph by Kyodo News

ファンとハイタッチする西武・十亀剣。ドラフト1位で2012年に入団、先発投手陣のなかでは内海、榎田に続く年長者となる。

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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Kyodo News

 7月16日、メットライフドームで開催された千葉ロッテ戦で、プロ入り8年目を迎える埼玉西武ライオンズの十亀剣がプロ通算50勝目を挙げた。

 十亀はプロ初年度から即戦力として活躍し、2015年にはキャリアハイであり、かつチームの勝ち頭となる11勝をマーク。その後は4勝、8勝、5勝とシーズンによって勝ち星にばらつきがあったが、昨シーズン5月は他の先発投手陣が苦しむ中、30イニングスを超える登板でチームを救った。しかし、終盤戦は失速。クライマックスシリーズでは中継ぎとして登板するなど、本人としては納得できないであろう成績でシーズンを終えた。

「去年、チームのみんなが優勝というベクトルに向かっているときに、自分だけ道をそれてしまったという悔いは残ります。今年こそはしっかり同じ道を歩きたい。僕自身が勝手に『カヤの外』と感じてしまったのかもしれないですが、後半、自分の仕事ができなかった分、優勝に貢献したチームメートと全く同じ気持ちではいられなかったですね」

 悔しい思いを抱いたまま迎えた今シーズンだった。

「調子自体は去年のほうがよかった」

 今シーズン、ここまで防御率は4点台であるものの、7月中旬までの間に先発を任された試合では合計7度のクオリティスタートを見せて試合を作っている。

 今年の十亀について、キャッチャーの森友哉は言う。

「テンポよくストライク先行で投げられているときは、結果が出ていると思います。それが後手になると、どうしても単調になる。『後手にならないように行きましょう』という話は常に十亀さんともしています。今シーズン、ここまでクオリティスタートが多い要因は、丁寧に投げている点。逆玉も少ないし、意識して丁寧に投げている印象は受けていますね」

 十亀は語る。

「実は、調子自体は去年のほうが圧倒的によかったんです。今年は調子が上がらないうちに一軍に呼ばれて、でも、上げていただいたのだから、調子がどうのこうのと言っている場合ではないじゃないですか」

【次ページ】 好成績につながる「力まない投法」。

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