球体とリズムBACK NUMBER
チェルシー新体制と主力選手の信頼。
「ランパードとともに楽しんでいる」
posted2019/07/23 17:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
「もちろん、勝ちたかった。ただプレシーズンに入ってまだ10日ほどだし、日本には3日前に着いたばかりでフィジカルが整っていなかった。そんな状況に加え、湿度も強烈だったが、全力を尽くしてくれた選手たちには満足している」
現役時代の古巣チェルシーに新監督として戻ってきたフランク・ランパードは、就任後3試合目の川崎フロンターレ戦(7月19日、日産スタジアム)で初黒星を喫した。試合後の記者会見で、座り心地の悪そうな仕草を何度か見せたのは、勝負にこだわった末の敗北だったからだろうか。それともまだその職務に不慣れなだけか。
ランパードの率いる新生チェルシーは来日する前に、アイルランドで2つのフレンドリーマッチを行い、ボヘミアンズと1-1で引き分け、セント・パトリックス・アスレティックを4-0で下していた。
プレシーズンの結果はあまり意味を持たない。それでも現役時代に13年間を過ごしたチェルシーに招聘されたクラブきってのレジェンドは、川崎戦の敗戦を悔やんでいるようだった。
そうした姿勢は、ベーシックな事柄を重視するランパードらしいものだ。
補強禁止処分を受けている状況。
チェルシーは現在、ユース選手の移籍に関する規則違反への制裁として、FIFAから今夏と来冬の移籍市場での補強を禁じられている(スポーツ仲裁裁判所に提訴しているが、いずれにせよ今夏の補強禁止は免れそうにない)。
多くのライバルが新戦力の獲得に勤しむなか、これは大きな不利だ。しかも昨季、プレミアリーグで3位に終わったチェルシーは、1位のマンチェスター・シティと2位のリバプールに25ポイント以上の差をつけられている。
「その差を埋めるには、徹底的なハードワークとフォーカスしかない」とランパードは川崎戦の翌日に英国メディアに話した。
「それらの基本が変わることはない」