武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
武蔵丸の名古屋場所総括。4大関に喝。
引退・安美錦は「お疲れ様!」。
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph byKyodo News
posted2019/07/22 19:30
引退会見に臨んだ安美錦。40歳まで土俵に上がり続けた、素晴らしい力士人生だった。
安美錦はいい親方になってくれるはず。
安美錦がとうとう引退したな。
まだ緊張感があるからガクッとは来ないかもしれないけれど、何年後かに、現役時代に無理を重ねた反動が出てくるんだ。引退した後もトレーニングして、筋力が落ちないようにしないとね。
お兄ちゃん――3代目若乃花も、今は痛み止めを持ち歩いているくらい、あちこちが痛いって言ってたもの。
もともと体も大きくなくて、頭で行く相撲だったから、特にあとあと、響いてくる。髪の毛が薄くなるのもしょうがないヨ。頑張ってきた証拠だからな。
若い頃から、支度部屋で毎日四股を踏んで汗をかいて、準備運動している安美錦の姿を見てきた。「あれだけやったら、土俵に上がる前に疲れて力が出ないんじゃ?」と思うくらいだったよ。
ここ数年は、前みつ取っての自分の相撲ではなく、誤魔化し誤魔化しの相撲になっちゃっていたけれど、当たって押していくなどがあったら、まだ取れたかもしれないな。とにかくお疲れ様! いい親方になってくれると思うよ。
腕の返し方を覚えるとが少し楽になるよ!
先場所に平幕優勝した朝乃山は7勝8敗と負け越してしまったけれど、相撲自体は攻めているし悪くはなかった。
初めての上位陣総当たりだったし、しょうがない。力は充分あるし、もっと背中を丸めて、どちらかの脚を前に出すなど揃わないように意識するといい。右四つで力が出るタイプなんだけど、腕(かいな)を返せないんだよね。
これは逸ノ城もそうなの。僕が腕(かいな)の返し方を教えてやりたいくらいだよ(笑)。
返し方を覚えると相撲を取るのがちょっとでも楽になるんだ。15日間は長いから、少しでも楽に取れるような方法を考えると、相撲も楽しくなるものなんだよ。
初の殊勲賞受賞の友風は、鶴竜戦で金星を挙げたけれど、これは“運”だな。
今場所のラッキーボーイだよ。
鶴竜は当たりがよかったけれど、頭が下がり過ぎてしまっていて、たまたまのタイミングだった。う~ん、まだ友風については、僕は“つかんでない”んだよ。「今日は強いな」と思うと次の日コロッと負けるし、幕の内の真ん中あたりまで番付が上がると、パカーッとやられちゃうぞ? そこで跳ね返せればいいのだけれど。