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優勝のジンクスは守られたが……。
ブラジル代表は雲の上の存在に?
posted2019/07/08 17:30
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
Getty Images
ジンクスは守られた。
悲惨な結末を迎えた過去2度のワールドカップとは異なり、ブラジルは地元でのコパ・アメリカでは無敵の強さを誇ってきた。過去4度コパを開催し、すべて優勝。5度目となった今大会も、いつものように優勝で締めくくった。
ペルーとの決勝は3-1に終わったが、5-0で圧勝したグループリーグほど簡単ではなかった。
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15分に幸先よくエヴェルトンが先制。44分にPKで追いつかれたが、直後にガブリエル・ジェズスが勝ち越しゴールを決める。ところが、そのジェズスが69分に2枚目のイエローカードで退場になり、終盤は押し込まれる展開に。89分に途中出場のリシャルリソンがPKから3点目を決め、優勝を決定づけた。
王国が見せた手堅い守備とひたむきさ。
ブラジルといえば華麗なテクニックのイメージが強いが、この大会の彼らは手堅さとひたむきさによってトロフィーをつかんだ。
6試合で許したゴールはわずかにひとつ。ベネズエラに引き分けたり、パラグアイとの準々決勝ではPK戦決着と苦戦を強いられたが、守備陣はつねに安定していた。とりわけチアゴ・シウバとダニエウ・アウベスのベテランふたりが、若いチームを後方から力強く支えた。
安定した守りとともに光ったのが、ひたむきさだ。ブラジルの面々はヨーロッパでの過酷なシーズンを終えたばかりだというのに、最後までよく走った。
チッチ監督はネイマールというスーパースターの欠場を嘆くのではなく、特定の選手に頼らず全員が走るストイックなチームを創り上げた。8人が得点者に名を連ねたことが、チームとして機能した証といえるだろう。