ル・マン24時間PRESSBACK NUMBER

ブエミが語るアロンソの速さ(前編)。
「彼の勝利への執念は次元が違う」

posted2019/07/01 11:30

 
ブエミが語るアロンソの速さ(前編)。「彼の勝利への執念は次元が違う」<Number Web> photograph by TOYOTA

1年半の長いシーズンを共に戦ったブエミ(左)とアロンソ。

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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TOYOTA

 最高時速300km以上を叩き出すマシンが、5000kmもの距離を一気に走り切る。WEC(FIA世界耐久選手権)のクライマックスでもあるル・マン24時間レースは、モータースポーツ界において最も過酷、かつ栄えあるレースの1つに数えられる。

 今年はTOYOTA GAZOO Racingが、昨年に続いて連覇を達成。WECのチームタイトルと併せて、ドライバーズタイトルでも1位と2位を独占している。

 この快挙をもたらしたのはチームの総合力に他ならないが、新加入のフェルナンド・アロンソの存在も大きな注目を集めた。

 アロンソはかつてF1において、当時史上最年少の24歳でドライバーズ・チャンピオンシップを獲得。翌年にも頂点に輝き、通算32勝を記録したドライバーである。そんな彼がWECに参戦したこと自体が、1つのサプライズでもあったと言ってもいい。

 アロンソの姿はTOYOTA GAZOO Racingのチームメイトの目に、いかに映ったのか。中嶋一貴と共にアロンソのチームメイトを務め、TS050 HYBRID8号車に乗車したセバスチャン・ブエミのインタビューを2回にわたってお届けする。

次元が違うほど負けず嫌いの男。

――あなたは2012年から、TOYOTA GAZOO RacingのドライバーとしてWECに参戦してきました。他にもF1を始めとして様々なカテゴリーを経験してきたし、数多くのトップドライバーとも仕事をした経験を持っている。そんなあなたにとって、フェルナンド・アロンソというドライバーはどう映ったのでしょうか? 彼が1年半前にチームに加入してきた時、最初に受けた印象は?

「とにかく負けず嫌いな人間だったよ。彼は決して勝負を諦めないし、チーム全体の調子が悪くても、最後までプッシュし続ける。そしてチーム全体にインスピレーションを与えていくんだ。あんなドライバーは見たことがなかった。

 もちろん僕たちは皆負けず嫌いだし、誰もがレースに勝つためだけに戦っている。でもフェルナンドの気持ちの強さは次元が違う。それは確かだと思うね」

――結構、衝撃的でした?

「いや、彼に関する話はいろいろ聞いていたし、そういうドライバーだということはわかっていた。でも実際に同じチームの一員として組んでみると、彼の凄さがさらによくわかるんだ。フェルナンドはとにかく勝負を諦めない。あの執念の強さにはものすごく感心するよ」

【次ページ】 分厚いマニュアルを読み続けた元F1王者。

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