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武豊とルメールがフランスで挑んだ、
凱旋門賞より人気の3歳牝馬GIとは。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/06/21 07:00
フランスで大人気のディアヌ賞に挑んだ武豊。ルメールとともに日本を代表する立場で戦った。
ルメールと武豊が挑んだ遠征。
「ディアヌ賞は何度でも勝ちたいレースだし、乗りたいレースです。だから話をもらった時、すぐに遠征を決めました」
ルメール騎手はそう言う。ジャン・クロード・ルジェ厩舎のカルティエムの手綱を取る。
そしてもう1人は武豊騎手。
彼が「凱旋門賞を勝ちたい」と公言し続けているのは周知の事実。これに賛同したキーファーズの松島正昭オーナーがヨーロッパで2戦2勝という3歳牝馬アマレナを購入。フランスで開業する日本人の小林智調教師の下へ預け、まずはこのディアヌ賞に挑むことになった。
前の週、日本での競馬が終わってすぐにフランス入りした武豊騎手は12日の朝にはシャンティイ地区にあるエーグル調教場の芝コースでアマレナの調教にまたがった。5頭で馬場入りすると、朝靄の中、楽な手応えのまま先頭で駆け抜けたのはアマレナだった。
道中は思い描いた通りの競馬。
「見るのも初めてだったけど、大人しくて乗り易い。良い馬でした」
レース前に調教での様子を伺うと、にこやかな表情でそう語った。
レース当日は快晴。パドックに現れたアマレナは2戦のキャリアしかない馬とは思えないほど落ち着いている。馬場入場後、スタンド前のパレードも難なくこなすと返し馬も、ゲートイン前の輪乗りでも、そのままの様子をキープして、ゲートに収まった。
「スタートも出てくれたし、道中も思い描いた通りの競馬が出来ました」
天才騎手がそう語るように、スタートを五分に出たアマレナは終始4~5番手の好位で流れに乗った。16頭立ての15番枠だったためインに潜り込むことこそできなかったが、だからと言って極端にコースロスがあるわけではないコース取り。「馬場の良いところにコントロール出来ました」と後に鞍上は語っている。
3~4コーナーでも手応えは悪くない。何の不利もなく持ってきた直線入口では、外から先頭を捉えようかというシーンを演出してみせた。