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雨で異例の1日2試合という過酷日程。
錦織圭、大坂なおみはどう勝った? 

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長谷部良太

長谷部良太Ryota Hasebe

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posted2019/05/17 11:50

雨で異例の1日2試合という過酷日程。錦織圭、大坂なおみはどう勝った?<Number Web> photograph by AFLO

1日2試合という強行日程を生き残った錦織圭。リラックスして、目の前の試合に集中するという基本を完璧に遂行した。

ハレプは「不満を言うことはできない」。

 敗戦の悔しさを、何かにぶつけたい気持ちもあったのだろう。ただ、同様に2回戦で敗れたシモナ・ハレプ(ルーマニア)は穏やかだった。

「昨日は遅くまでここにいなければいけなくて少し大変だったけど、それはみんなが同じだし、不満を言うことはできない。今日、勝てなかったということだけ」

 脚を少し痛めているようで、「全仏オープンに向けて、余計に休めるのはいいかもね」と笑う余裕まで見せた。ローマで優勝すれば、大坂なおみを抜いて世界1位に返り咲く可能性もあったのだが、その悔しさは胸の奥にしまったままだった。

錦織圭「戦いきったなっていう感じですね」

 日本が誇るスター2人はどうだったか。まずは錦織。正午に始まった2回戦ではテーラー・フリッツ(米国)を寄せ付けず、6-2、6-4で快勝した。試合時間は1時間12分。体力を温存する最高の形で初戦を突破した。

 しかし、5時間半後に始まった3回戦は思わぬ苦戦を強いられた。相手は好調のヤンレナート・シュトルフ(ドイツ)。世界51位だが、今季のツアーでトップ10の強豪を2度も破っており、この日の2回戦でも実力者のマリン・チリッチ(クロアチア)をストレートで下していた。

 第1セットは相手に1度のブレークチャンスを奪われ、3-6で落とす。第2セットは第5ゲームから互いにブレークの応酬。錦織は4-5の崖っぷちで相手サービスを破ると、タイブレークで集中力を発揮してセットを奪い返した。

 最終セットはシュトルフに疲れが見え始め、序盤にはなかった凡ミスが続く。一方の錦織は尻上がりに調子を上げ、何とか逆転勝ちを収めた。

 午後10時過ぎ。当初の予定時間より30分ほど遅れて取材エリアに現れた錦織は、疲れた様子だった。試合のことはもう頭にないといった感じで、まず「3回戦を振り返ってみて」と問われると「3回戦はどっちですか?」と天然ぶりを発揮した。

「戦いきったなっていう感じですね。苦しい試合を勝てたのは、すごく自信になります。2試合やるのはすごく久しぶりだったので、ちょっと大丈夫かなっていうのはありましたけど、昨日も長い1日をリラックスして過ごせたし、1試合目も簡単に終わったので」

 17日の準々決勝は午後1時半以降に開始。「今日の2試合目が長くなって、明日も早いのでちょっときつい」と、ちょっぴり不安を漏らした。

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