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五輪バスケの競技日程に違和感。
決勝戦はアメリカが出る前提?
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2019/05/06 11:30

北京、ロンドン、リオと3連覇を果たしたアメリカ。東京での「金」についても最有力候補だ。
過去の五輪を振り返っても異例。
決勝は、「ファイナル」と言うように、最後の試合であるから、3位決定戦が先に行なわれ、決勝戦が最終試合となるのはどの競技でも通例だ。それを考えれば当然異例のことである。
ソウル五輪でもバスケットボール男子の決勝は正午からだったが、その前に3位決定戦は終了していた。また北京五輪でも14時半からスタートする決勝の前に、3位決定戦は行なわれていた。アジアでの過去のオリンピックと照らし合わせてみても、やはり異例である。
そうなった理由は、先に記した利害関係などが絡んでのことにほかならない。
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バスケットボールに関係する知り合い数名に意見を聞いてみたが、「競技団体で決められることではないから」「仕方ないのでは」という見解だった。
スポーツの祭典と呼ばれるオリンピックには、国をあげての、いや世界的な興行の側面もあるため、それも無理はないかもしれない。ただ、それでも、決勝戦が最後ではないことに対する違和感が消えることはない。せめて、ファイナルがファイナルとして扱われるようにはならなかったのか、と。
予定調和を覆す国は現れるか。
また、考えてみれば、このスケジュールになったのは、アメリカが決勝戦に出ることが前提にある。
実際、NBA選手の参加による、いわゆる「ドリームチーム」が出場するようになった1992年のバルセロナ五輪から、2004年のアテネ大会を除き、アメリカは決勝進出を逃していない。そして決勝に進めば必ず金メダルを手にしてきた。ある意味、予定調和の世界が続いてきたと言えるし、だからこそのスケジュールでもある。
そんな予定調和に風穴を開けるチームがあるのかもまた、別の楽しみとなるし、そのときはビジネスを中心とする仕組みを破る場面でもある。さまざまな事情から、決勝戦を3位決定戦よりも前に行うことになる東京五輪は、アメリカが決勝に進むというシナリオを覆す国が現れるのか。
違和感を覚えた競技日程の発表は、そんなことも思わせた。
