話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER

好調トリニータの追い風となるか。
FWオナイウ阿道に本格覚醒の予感。 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE

posted2019/04/26 07:00

好調トリニータの追い風となるか。FWオナイウ阿道に本格覚醒の予感。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

昨季J2でブレイクしたFWオナイウ阿道。彼の覚醒があれば、チーム目標の「J1残留」もはっきり見えてくるはずだ。

課題もあるが、表情は明るい。

 その一方で、まだ粗削りなところも多い。

 簡単なトラップをミスしてチャンスを潰したり、ポストプレーも体の使い方が悪く、奪われたり、ファールを取られてしまうケースが多い。

「ガンバ戦を通して、改めて細かいところ、技術の面とかまだまだと感じたし、そういう質のところはもっと上げていかないといけない。それができてくるともっとゴールやチャンスを作れると思います」

 本人も技術的な部分での課題を自覚しているが、それが逆に大分のプレーにうまく適合している理由でもあろう。無理なこと、得意ではないことはせず、任せるところは任せているおかげでスムーズにプレーできている印象だ。

 動きもいいので、これから先、さらに調子を上げ、多くのゴールが期待できそうだが、オナイウ阿道は今の自分の調子について、どう考えているのだろうか。

「今はあまり考えず、自分のやれることをやる。そして積極的にプレーすることだけを考えてやっています。そこで結果が出てきているのは嬉しいですね。ゴールはFWの選手にとっては一番ポジティブになれる要素だと思うんで、今は気持ちよくプレーできています」

 明るい表情が好調であることを物語っている。

「チームの勝利に貢献したい」

 浦和では通用せず、リーグ戦1試合の出場に終わった。その悔しさを抱えて山口に移籍し、結果を出して自信を取り戻してきた。それまで淡泊なプレーが多かったが、ゴールに執着するようになった。

 だが、オナイウ阿道のポテンシャルを考えれば、FWとしてもっと伸びるだろうし、もっと怖い選手になれる。もともとリオ五輪代表のバックアップメンバーに入るなど世代別代表に入る力があったのだ。

 今後、エースの藤本はこれからも研究され、封じられるケースが増えてくるだろう。だが、オナイウ阿道が昨年のような結果を出していけばやがてマークが分散され、藤本が活きてくる。その狙いが片野坂監督にも当然あるはずだ。また、帰ってきたJ1の舞台でブレイクすれば代表への道程が見えてくるだろうし、片野坂監督が掲げる「J1残留」という目標もそれほど困難なミッションではなくなる。

「もっとゴールに絡んでチームの勝利に貢献したい」

 貪欲になった「アド」の果たす役割と存在感が、どんどん大きくなりつつある。

BACK 1 2 3
#大分トリニータ
#オナイウ阿道
#藤本憲明
#片野坂知宏

Jリーグの前後の記事

ページトップ