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藤浪晋太郎なくして阪神の優勝なし。
なぜ首脳陣は彼を二軍に行かせたか。
posted2019/03/28 11:40
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
阪神タイガースの2019年、開幕が近づいてきました。
先発投手にFA移籍の西勇輝、昨季中日で13勝した左腕・ガルシアを補強して、4番には大山悠輔を抜擢。1、2番は木浪聖也と近本光司というフレッシュな新人コンビと、鍵を握りそうな選手はたくさんいるのですが、やはり最大のキーマンは藤浪晋太郎だと思います。
今、藤浪は二軍にいます。オープン戦終盤に首脳陣が本人と話し合い、本人の希望もあって、そういう措置を取ったということですが、なぜなんだという気がします。二軍でやることなんてない、というのが正直な気持ちです。
一軍でしか、つかめないもの。
昨年、5勝3敗という成績に終わって、今年は自主トレの段階から、一度ゼロに戻してフォームを再構築しようという決意が伝わってきました。キャンプでも200球を超えるなど、ずいぶん投げ込んでいるなと思って見ていました。
ただ、オープン戦では3試合10イニングを投げて四死球10、1勝1敗、防御率2.70という数字でした。1球でも右打者のインコースへ抜けたボールが行くと、そこから制球が乱れ、崩れてしまうという循環は昨年と変わっていませんでした。
そこで首脳陣が本人と話し合いを持ち、胸の内を聞いたということのようですが、冒頭でも言ったように、たとえ本人が望んでも二軍に行かせてはダメだと思います。
藤浪は新人のシーズンから一軍で3年連続2ケタ勝利を挙げた投手です。一軍のマウンドの重圧を知りすぎるほど知っているわけです。そういう投手が二軍で登板する場合、どうしても「二軍だ」という意識が働きます。そこで何かをつかんだと感じても、それが一軍での好投につながる保証はない。
藤浪クラスの投手がつかむものというのは一軍にしかないと思います。本人も周囲も苦しいでしょうが、逃げずに、逃さずにやっていくしかないという気がします。