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藤浪晋太郎なくして阪神の優勝なし。
なぜ首脳陣は彼を二軍に行かせたか。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2019/03/28 11:40
開幕二軍スタートとなった藤浪。エースとしての躍動した輝きを取り戻す日は来るか。
藤浪は手首が寝ている。
藤浪が苦しんでいる理由は技術的なものと、精神的なもの、両方あると思います。
技術的な部分で言えば、今年は腕を下げてスリークオーター気味に投げたりしています。人並みはずれて、背が大きく、手足が長いので、米大リーグのランディ・ジョンソンのように、自分の手足に合った最適な位置を見つければいいと思うのですが、藤浪の場合は腕とともに手首も寝てしまっています。
腕を下げても、手首は立てていなければ、制球力も上がらないし、力のあるボールは投げられません。
賢く、図太くやってほしい。
また精神的な部分ですが、どうしても死球が気になってしまうようです。今年のキャンプで会った時には「2つか3つぶつけたって、ゼロ(無失点)で帰ってくればそれでいいんだよ」と声をかけたら、本人も「そうですよね」と言っていたんです。
ただ、ゲームになると相手は藤浪の弱点を突くようなことをしてきますし、どうしても打者の反応で死球が気になってしまうのでしょう。
私もよくぶつけた方ですが、それを逆手にとって「コントロールが悪いので、投げ損ないが多いと思います」とゲーム前に相手に言っておくんです。それで打者が嫌がるので、あとは知らん顔して外ばっかり投げておけばいい。
また、藤浪はひょっとしたら必要以上に打者を気にしてしまっているのかもしれません。捕手のミットだけを見て、捕手と自分の間に、誰か立っているというくらいの意識で投げると、(死球を)当てなくなるものです。
今は打者が身を守るためのガードも発達しているので、賢く、図太くやってほしいと思います。