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「メジャー優勝」を正夢にするため、
畑岡奈紗のイメージが整い始めた。
posted2019/03/27 07:30
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Getty Images
アスリートという人種は自分の未来を“結果的に”言い当ててしまうことがある。
その形は卒業文集に書いた「将来の夢」であったり、大きな目標を叶えるための段階を子細に書き記した「夢ノート」であったり。
夢を空想で終わらせずに正夢に変える。目指す場所にいたるためにプロセスを積み上げる力、こうなりたいという将来の姿を具体的にイメージする力は、トップ選手になるための条件と言えるのかもしれない。
現在女子ゴルフの世界ランキング7位にいる畑岡奈紗も、何度かそんな予知にも似た状況を発現させてきた。
国内女子最年少となる17歳8カ月でプロ宣言した時、会見の場で掲げた目標の1つが「2年以内に米ツアー優勝」だった。そしてプロ2年目となった昨季、宣言通りに米ツアーで初優勝を含む2勝を挙げ、一気にブレークしたのである。
プロ転向時に知らなかった厳しさ。
どれほど確信的な目標だったのか。3月中旬、地元の茨城で調整中だった畑岡奈紗は、あの時の言葉を振り返って言った。
「プロ転向した時はまだプロツアーの厳しさだったり、プロ生活もどうやっていくかも分かっていなかった。難しいとは知りながらも、東京五輪もあるので、2年以内に優勝したいと目標にしていた。最初の1年を戦ってみて最初はシードも取れなかったのですごく厳しいなとは感じていた」
ルーキーイヤーの2017年は7戦連続予選落ちなど悪戦苦闘が続き、シードも確保できずに終わった。日本ツアーを踏まずに予選会を経て飛び込んだ最高峰の舞台は、母・博美さんに「日本に帰りたい」と漏らすほど厳しい世界でもあった。そのどん底を考えれば、翌シーズンに優勝の誓いを叶えられたことは想像を超えた飛躍だった。
「1年目で結果を出せなかった分、2年目で優勝できたのは周りから見ても結構早かったんじゃないかと思うし、自分でもそんなに早く優勝できると思ってなかったのですごく自信になった」