ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
リバプールCL制覇へ必須の大黒柱。
ファンダイクという「究極のCB」。
posted2019/03/14 12:30
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph by
Getty Images
これぞ、圧倒的存在感。
69分、CKの場面でビルヒル・ファンダイクがハビ・マルティネスとマッツ・フンメルスの上から叩き込んだ強烈なヘディングシュートが、ドイツ王者バイエルンの心を折った。この一撃が決勝点となり、敵地で3-1と勝利を収めたリバプールは、見事チャンピオンズリーグのベスト8進出を決めた。
本拠地アンフィールドでのファーストレグは、累積警告により出場停止だった。代役として臨時でセンターバックにコンバートされたファビーニョの奮闘もあり無失点に抑えることができたものの、バイエルンの専守防衛策に苦戦し、攻撃面ではチームはいつものパフォーマンスをさせてもらえなかった。
そんな仲間たちを客席から見つめていて、歯がゆい思いがあったはずだ。
その鬱憤を、ファンダイクはDFながらリバプールの3ゴールすべてに絡み、セカンドレグで存分に晴らしてみせた。
先制点の起点、獰猛なヘッド。
まずは26分。大事な、大事な最初のアウェーゴールをもたらしたのがファンダイクの正確無比なロングフィードだった。
ヨシュア・キミッヒの出場停止により先発に抜擢されたバイエルンの右サイドバック、ラフィーニャと、目下絶好調のサディオ・マネのミスマッチを的確に狙って自陣から右足を振り抜いた。ワントラップでラフィーニャをはがしたマネはそのまま素早い反転で飛び出してきたGKマヌエル・ノイアーもかわし、左足で優しくボールをゴールに収めた。
次が冒頭に挙げた69分のヘディングゴールだ。今季プレミアリーグでも3ゴールを挙げている彼は時折、自分の仕事場とは反対のゴール前で、まるでストライカーのような獰猛さを見せることがある。
このシーンもまさにそうで、ジェイムズ・ミルナーのキックにピンポイントで合わせ、豪快にゴールネットを揺らした。これでスコアは2-1となり、勝ち上がるためには残り20分強で2ゴールが必要になったバイエルンは意気消沈した。