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錦織圭が珍しい髪型で初戦に勝利。
ギリギリの試合、冗談交じりの会見。
text by

吉谷剛Tsuyoshi Yoshitani
photograph byGetty Images
posted2019/03/11 17:00

初戦から厳しい試合を乗り越えた錦織圭。明るい表情も、新しい髪型も新鮮だ。
「絶対に1球もミスれない崖っぷち」
第1セットこそ奪ったものの、第2セットはフォアのミスが増え、第9ゲームでブレークを許して奪われた。第3セットも錦織のフォアの距離感が修正されない時間が続き、先行を許す展開となる。第11ゲームをラブゲームでブレークされて5-6で相手サーブとなり、絶体絶命のピンチが訪れた。
劣勢に強い錦織とはいえ、今日は巻き返せるだけの自信は「あまりなかった」と明かす。これだけミスが多ければポジティブな感情を持つのは難しかっただろうが、一方で冷静な目も忘れていなかった。
「なるべく相手に打たせるというか、自分からミスをしないことを心がけた。(第12ゲームは)自分から打ってはいきましたけど、絶対に1球もミスれない崖っぷちだったので、無理はしすぎないことを意識した」
攻めと守りの絶妙なバランスでこのゲームをブレークして追いつくと、タイブレークでは気落ちした相手にバックハンドで攻めて7-4で押し切った。
「大事なポイントを取りきれないところが、最後までいってしまった原因。彼も前回の試合よりも2倍ぐらいは強かった。守備もしっかりしていたし、(相手が)守備から攻めるタイミングも良かった。強いなと思った」
マスターズでは、2回戦でも簡単な相手はいない。最後は七三の髪形が乱れるほどコートをカバーし、ぎりぎりのところで踏みとどまった。
気温が変わるとボールの重さが変わる。
今年のインディアンウェルズは例年より気温が低く、日中でも20度以下、夜は10度を下回るほど寒暖の差が大きい。
第1試合で戦った錦織だが、気温が低くラケットのストリングのテンションとボールの飛びが合わなかったようだ。
「難しかったですね。今日は気温が低くてボールが重く感じたので、決めにくい環境だった。太陽がしっかり出てくれば球も飛ぶけど、天気によってテンションもボールの感じも変わってくるので」
この春の大会が毎年波乱含みなのは、様々な要因があるためだ。