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日本人初、ムエタイの聖地で王座を防衛したT-98の戦略。~ギャンブルのオッズも気にして戦う!?~
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byHiroshi Soda
posted2016/10/29 17:00
新人時代から身体が大きかったためターミネーターをイメージし、T-98と名付けられた。
アウェーの地で日本のムエタイ戦士が快挙を成し遂げた。10月9日、タイ・バンコクのラジャダムナンスタジアムで同スタジアム認定スーパーウェルター級王者T-98(タクヤ)が同級7位のプーム・アンスクンビットを3RTKOで沈め、王座初防衛に成功したのだ。
獲るより守る方が遥かに難しい。ラジャダムナンで王者になった日本人選手はT-98以前に4名いるが、誰もタイで防衛に成功した者はいない。それは、もうひとつのムエタイのメジャースタジアム――ルンピニーでも同様だ。
なぜか。それはタイのムエタイはギャンブルの対象なので、現地のギャンブラーを納得させるため、勝負の要は3~4R、といったセオリーに則った攻防をしなければ認められない傾向があるからだ。T-98にも、それが重圧にならなかったといったら嘘になる。